Donuts Bangkok取締役・荒金様にインタビュー ローカル市場にシェアを築いたその秘訣は??
MIA
皆様、sistacafeというサイトをご存知でしょうか?
月間400万UUを誇るタイで大人気の女性向けキュレーションメディアsistacafe、実は日系企業が運営しているんです!(UU数は集計期間内であれば同じユーザーが複数回訪問した場合も1UUと数えるので、ウェブサイトに興味を示している人がどれくらいいるのか)
詳しくはコチラの記事へどうぞ!↓
MixChannelやジョブカンなどのサービスを手掛ける新進気鋭のIT系ベンチャー企業Donuts社、そのバンコク支社であるDonuts Bangkokのディレクター荒金弘明様に、海外マーケットでも大きくシェアを伸ばされたその秘訣や、現地の人たちとの組織作り、ご自身の仕事観などを伺わせていただきました。
Facebookより
1987年6月生まれ 2005年 都立国立高等学校卒 2007年 Donutsにアルバイトエンジニアとして入社( 2008年 東京工科大学コンピュータサイエンス学部卒( 2011年 アプリ版暴走列伝単車の虎のリーダー兼エンジニアとなり、 2013年 Donuts初のタイ支社となる、Donuts Bangkokを立ち上げ、取締役就任 2015年 タイ女性向けメディア sistacafeをリリース 1年でタイ国内女性向けメディアNo1になる 月間500万人が利用 2015年 Tokyo 7thシスターズ タイ版をリリース 2017年 コンドミニアム情報サイトestopolisをリリース 2018年 ライブストリーミングサービスVibieをリリース 1年でタイを代表するライブストリーミングサービスに成長 AppStore売上ランキング7位/Google Play Store売上ランキング3位を獲得 |
Donuts Bangkok創設秘話
facebookより
ー Donuts社が海外進出の最初の一歩をタイに決定された経緯を教えて頂けますか?
東南アジアのマーケットにこれから進出していこうと考えていた時に、その地域の中心的な立ち位置にあり、日系企業も多数在籍しているタイで海外事業を始めるのがいいと考え支社を構えました。
ー 荒金様はDonuts社とどう知り合ったのでしょうか?
大学一年生の時にプログラミングの勉強を始め、三年生の頃にDonuts社の副社長とMixiの起業コミュニティで知り合い、食事の席で誘われすぐに入社をきめました。4人目の社員として家電量販店のモバイルサイト開発にくわえ、
ー それでは入社してからずっとシステム開発のみに携わってこられらのでしょうか?
いえ、2011年ごろ、開発に参加していたゲーム「単車の虎」の人気により急激にユーザー数が伸び、運営するのに人手が全く足りない状態となったため、サーバの増設からカスタマー対応まで業務の幅が大きく広がっていきました。今では営業とデザイン以外はできるようになってしまいましたね。
(単車の虎 : 350万人以上が遊んでいる、ヤンキーをモチーフにしたカジュアルRPG。ユーザー同士のタイマンやチーム同士の抗争に勝利してバイクのパーツを集めることでバイクをどんどんチューニングでき、多種多様なアバターの着せ替も魅力)
ー どのような経緯でタイ支社立ち上げ業務に参加されるようになったのでしょうか?
当初タイに行く予定だったのは営業部門の方1人だけでした。タイで新しいサービスを提供するなら技術部門の人間も必要になるのではと提案したところ、僕自身が技術部門担当として事業立ち上げに参加することとなりました。現在は、自分1人に対し通訳が2人もついてくれています。
ー 海外で働きたいと考えられていたのでしょうか?
あまり考えていませんでしたね。海外経験も旅行したことがある程度でした。
SistaCafeができるまで
ー 事業立ち上げの際から女性向けメディアサービスを行おうとお考えだったのでしょうか?
タイに来て最初の2-3年はゲーム事業を行っていました。しかし業績が芳しくなかったため、本社勤務中に得たWebメディアのノウハウや経験を活かし、メイン事業を女性向けメディアサイトの運営に軌道修正しました。当時のタイではまだそういったサービスが存在していなかった所を狙っての事でした。それがSistaCafeですね。
ー まだ存在していないサービスが成功するか否かメンバーの方には未知数だったと思います。共に作り上げていくのは大変ではありませんでしたか?
大変でした。
例えば一日に10記事以上書いて欲しいという無茶な依頼がきた際、どう対応されますか?
ー お断りするしか…
そうですよね。しかし、まだこの世に存在しないものを作るという作業だったため、メンバーには達成できないと思うような課題をいくつも乗り越えてもらう必要がありました。特にメディアサイトは記事の数が重要だったため、大量の記事を毎日作成できる仕組みを伝え、成功すると信じてやり抜いてもらうしかなかったですね。
Facebookより
企業理念に込めた思いと荒金様の仕事観
ー 現地のメンバーはどういった基準で採用されていますか?
日本と同じような能力の見方から徐々にこの会社にあったものに変化していきました。今はDonuts Bangkokの公式サイトにある企業文化の項目に沿える人材かどうかを重視した採用を行っています。
公式サイト
ー これらの項目を企業文化として挙げられた理由をお聞かせください。
- 全員リーダー
「今日は雨が降ったから売り上げが落ちました。」といった報告が来たことがあったのですが、そこで立ち止まらず、外部要因の影響によって売り上げが落ちないようにするには何が必要なのか考える癖をつけ、他責にせず、自責的になるという意識を持ってもらおうと思いこの項目を挙げました。三つ目の「・同じミスは一度きり」も少し似ていて、一度失敗した場合、以後同じミスをせずにどう回避するのかを考えてほしいと思いここに入れています。
- PDCA
物事を分析する際にデータや数字を活用してほしいと考え、この項目を挙げるようになりました。PDCAサイクルを的確に回すためにはデータをもとにした分析が必ず必要になるため、データに注目が集まると良いなと考えています。
- 権威よりアイディア
せっかくの良いアイデアを権威で消してしまう事がないようにと考え、Donuts社では上下関係よりもより良いアイディアを取り入れることに重きを置いています。
- 基礎から学び取る
基本(型)を学び、自分なりにそれを工夫し、最終的にオリジナルの型を作っていくという守破離の考え方に沿って業務に携わって欲しいと思いこの項目を作りました。
ー なぜ守破離の考え方を重視されたのでしょうか?
守破離のどの過程に進む際も物事への深い理解が必要となります。そこが特に流行を追いかける傾向があるタイでビジネスをするときは重要ではないかと考えたためです。
成功した理由を深く理解せずに流行の表層のみを追いかけた場合、流行が別の物に移行したときに対応するのが難しくなりますよね。
ー 理念に挙げられたような項目に沿ってチーム作りをすればタイの人たちと業務を行いやすくなるのでしょうか?
タイの人にDonuts社の企業理念についてきてもらおうと考えた際に必要だと考え作成しているため、この項目に沿って現地の人と組織作りをすればすべてのケースでうまく働いてくれるとは考えてていません。内容も日本のビジネス社会では当たり前の事柄が多く含まれていると思います。しかし日本から一歩出るとそれが常識でないことが非常に多かったため記載しました。
Facebookより
ー システムや仕組みを分析し、新たなものを作っていくというお話が多数あったことが印象的でした。 荒金様はシステム作りがお好きなのでしょうか?
世の中を変えたいと考えた際、世の仕組みを理解したうえでシステム作りをする必要があったためシステム作りを多くするようになったのだと思います。
ー いつ頃から世の中を変えたいと考えられていたのでしょうか?
小さいころの夢が総理大臣だったので、そのころから世の中を変えたいとは漠然と考えていたのかもしれないですね。(笑)
そのうち、政治家にならなくてもこの夢を叶えることはできるなと考えるようになり、限りなく少ない資源で、極端に言えば短時間にパソコン一台と一人で世界を変えることも出来るWebサービスに取り組むようになりました。自分でやり遂げたと強く感じることができる点が魅力的でしたね。自身の裁量が大きいベンチャー企業に就職したのも、そのことが影響しているかもしれないです。
― 表層的ではない本質を突いた世の中への理解はどうすればできるようになるのでしょうか?
言語化するのはとても難しいですね。僕の言いたいことは既に説明が上手な方々が本で説明されているので、自分でうまく説明できる気がしないです。(笑)
ただwebサービスを自分で開発していたころから、世の中の仕組みを理解するために分析し、実際に世の中が変わるか試してきた経験から得たスキルなのかもしれないですね。
今後の展望
ー 今後の展望をお聞かせください
まずは各サービスの強化を行っていきたいと考えています。
sistacafeなら、多くの方から反応を頂けるようになりましたので、オフラインイベントを行ってみたいですね。ショッピングセンターでイベントを行ったり、実際に店舗を出してみるのも面白いかもしれません。
自分が携わった製品のオフラインイベントはユーザーの方々の反応に直に触れることが出来るため、過去に僕も参加した際とても嬉しかったのを覚えています。メンバーにもそういった機会を提供できたらいいなと考えています。
ジョブカンに関しては、日本での認知度が徐々に高まってきた影響からか、タイでも問い合わせをいただくようになりました。これからは日系企業の方へも積極的にプロモーションをかけていこうと考えています。
ー 他にも始めようとされている新しい事業の構想などはありますか?
タイにはメイクやファッションは韓国、旅行先は日本という流行が存在していますので、タイ人誘致をしようと考えている日本の地方都市と協力してインバウンド事業を行いたいですね。
新たな仕組みを作って効率的で効果的な地方誘致事業を行えたら楽しそうだなと考えています。
最終的にはあらゆる業界の Web サービスを展開したいですね。現在も不動産、美容にエンタメ、仕事効率化と様々なジャンルのWebサービスを展開しており、こういった特徴を持った会社は希少ですので、今後もさらにその点に注力して事業を展開していきたいと考えています。
公式サイトより
最後に
初めてお会いした時は僕は特にすることもなくパソコンの修理ばっかりしています(笑)としかお答えいただけなかったので、インタビューをさせて頂けるかドキドキしましたが、どのようにその鋭い洞察力と経験を生かして今までお仕事をされてきたのかたくさんお話していただけました。
荒金様、お忙しい中お時間を割いていただきありがとうございました。
Donuts Bangkokについて詳しくは
Donuts社のHPはコチラから
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