タイでの野犬事情と対策 4 STEP : ソイ・ドッグと襲撃体験から学ぶ

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サワディーカップ! どうもLABタイ語学校です!
 
皆さんは、野犬(野良犬)に襲われた事はありますか?現代の日本で暮らしているとそのような事はほとんど有り得ないと思います。
 
その背景には狂犬病予防法等の法整備により、2、30年前の日本と比べて現在の日本では野犬を見る機会がかなり減ったはずです。
 
近年は動物愛護の観点から処分ではなく保護と里親を見つけることに焦点を当てていますよね。
 
それではタイではどうでしょうか?実際に私はタイで2回野犬に襲われました。
 
今回は私の経験を交えながら、タイの野犬事情についてお伝えしていこうと思います。
 
▶この記事はこんな方にオススメ!

タイの野犬事情に興味がある方

野犬の対処法を知りたい方

 

 

野犬の数とその実態

 

タイは犬天国??

stray-dogs
 
2022年のBangkok Post の記事によるとタイの野犬の数は100万匹いるとされています。
※推定ですので実際の数は前後することがあります。
 
wikipedia によるとバンコクだけでも10万匹から30万匹の野犬がいると推定されています。
 
犬好きにとっては最高の場所のように見えます。
 

現代日本では聞きなれない”狂犬病”

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残念ながらタイでは狂犬病もしばしば報告されています。
 
狂犬病は犬等に咬まれることで感染します。症状が現れる前にワクチンを接種する必要があり、発見が遅れると治療法がなく致死率がほぼ100%と言われています。
 
2023年には少なくとも3人がタイで狂犬病を発症し亡くなっています。
 

データで見る狂犬病

National Library of Medicineに投稿された記事によると2018年の研究では9601個の動物サンプルから1475個に狂犬病の陽性反応が出てそのうちの9割近くが犬にあるとされています。

 
data
National Library of Medicineの記事よりTable1から引用
 
狂犬病が見つかったサンプル1475個のワクチン接種有無割合を見てもundefined(不明)が圧倒的に多く、ワクチンが打たれていると断言できないため、打っていない部類に入れるのが妥当でしょう。
 
このデータでは飼い犬の数は特定できませんが、飼い犬であるにも関わらずワクチンを打っていない個体の存在を否定することはできません。
※タイも飼い犬にワクチンを打つ義務があります。
 
また飼い犬と言ってもしっかりとリードをつなぐ、各個人の敷地内で飼う等日本での飼い犬の定義とは異なり、放し飼いスタイルがタイでは珍しくはありません。
 
散歩している方を見ていてもリードを繋いでいなかったり日本では考えられない光景が見られます。
※地域の条例によっては禁止されているようです。
 
主観ですがそのような飼い方では野犬と何が違うのかが全くわかりません。
 
以上のことからタイにいる犬は野犬のみならず安易に接触するのは避けた方が無難でしょう。
 

何故こんなにも野犬が?

 

環境づくりと法整備の不十分さ

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タイは仏教国であり、不殺生の教えで日本のように殺処分する訳にはいきません。
 
処分しないのは一見すると良いことのように思えますが、実際は環境や法律の整備が不十分であり、手に負えなくなれば捨てることも容易です。
 
タイではなんと困ったらお寺に譲渡することもできてしまいます。
 
そしてお寺側はそれを断ることはできません。
 
他にも飼うわけでも無いのに餌をあげてしまうことでその地域に住みついてしまいます。
 
法整備という事で2018年には原則として飼い犬のマイクロチップ登録を義務付けている(違反すると最大で25000バーツ(約10万円)の罰金)ようですが、放し飼い含め取締りをする事が出来ていないのがこの国の現状です。
 
総じて言えるのが、無責任な人間に原因があると言えます。
 

繁殖能力の高さ

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去勢手術や保護は追いついていないため、何もしなくても勝手に繁殖していきます。個体によりますが、犬は子犬を1度に1〜12匹あたりまで出産が可能です。
 
別のBangkok Postの記事を引用すると「私たちが何もしなければ、タイには2027年に200万匹、2037年には500万匹もの野良犬と野良猫が生まれるでしょう。」と言われています。
 
実際2007年は野良犬・猫の数は35万匹のところ2017年には86万匹と2倍以上の個体数に増えてしまっていることも言及されています。
 
以上の2つが主な理由で野犬が増えてしまっています。
 

非営利団体Soi Dog の活動

 

Soi Dog 概要

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Soi Dog 公式サイトより引用
 
ソイドッグは2003年に設立され、タイのプーケットに本部を置く野良犬・野良猫の保護を目的とした福祉団体です。
 
彼らは飼い主の責任を強調し、避妊・去勢手術、予防接種、医療治療を提供しています。
 
これまで100万匹以上の動物に手術を施しました。
 
繁殖制御だけでなく、狂犬病の予防接種や急なケガや病気の治療も提供しています。他にも保護した動物に里親を見つけ、新しい家庭への移動をサポートしています。
 
またソイドッグは地元のコミュニティと連携し、啓発活動や教育プログラムも展開しています。
 
そこでも飼い主に対する責任と避妊・去勢手術の重要性を広め、野良動物の数を減少させるための継続的な努力を続けています。
 

その他の活動

campaign
 
また彼らは犬食肉の取引の反対運動を行っています。
 
以前は犬をすし詰め状態で運搬する、生きたまま皮を剥ぐ等の残虐な扱い方をし他国へ輸出する事がタイで横行していたそうです。
 
現在のタイでは違法として不法取引の取締りを強化していて、撲滅したとホームページには記載されています。
 
今後の展望として、ソイドッグは飼い主教育や避妊・去勢手術の普及を通じて、野良動物の数を減少させる取り組みを継続しています。
 
地域社会と連携し、持続可能な解決策を模索していくことで、より広範な影響を与え、動物福祉におけるポジティブな変化を促進していくでしょう。
 

実際に私が襲われた話

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※画像はイメージです。
 
冒頭でもお伝えしましたが、私は2回野犬に襲われました。しかも同じ犬です。

 
スパンブリーのある砂利道を私は歩いていました。するといきなり犬の吠える声がし、視界に2匹の犬が入りました。サイズは中型犬。
 
刺激しないためにもなるべく視線を送らないようにただ通り過ぎようとしたら、私の方に走ってくるではありませんか。
 
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※画像はイメージです。
 
今でも顔ははっきり覚えていますが、こんな感じでした。あれは完全に狩る側の目でしたね。
 
私は完全にパニック状態になりつい走って逃げてしまいました。当然追ってきました。

 
しかし逃げ切れるわけない事を悟ったのと逃げようとした方向からもう1匹走ってきたため立ち止まってしまいました。
 
man-3dogs
 
勢力図にするとこんな感じです。犬との距離は1メートル程度。
 
後ろの草むらに逃げる方法もありましたが、それはそれで怖くてできなかったのを覚えています。
 
「もう終わった。犬に食われるかこの場は助かっても狂犬病で死ぬのか。」
 
今考えたら笑えますが、本当に絶望していました。ただ最後まで抵抗しようと思い、私は反撃をしました。
 
それはとにかく叫ぶこと、体を大きく見せて威嚇しました。他にも持っている1.5ℓのペットボトルを棍棒のように振り回したり、最後の方はその辺の砂利を蹴って犬に掛けまくっていました。
 
すると1分も経たないうちに3匹の犬は走って逃げていきました。
 
幸い怪我もなく、ただ精神的に疲れました(笑)。
 
次の日もまた同じ道、今度は1匹だけでこちらに走りながら向かってきましたが、私は先日のこともあってかカチンときてしまい、持っていたペットボトルを振り上げて犬の方向に走っていきました。

 
意外にも今度は犬に逃げられてしまい執拗に追いかけましたが、見失いました。
 
以上が私の経験です。
 

私なりの野犬に遭遇・襲われた時の対処法

 
実際に襲われた経験を基に私なりの対処法を考えてみました。ステップ1から4と順番に実行できるようなっていますので場合によってはステップ1で終了になることもあります。
 

1.犬に遭遇しても視線を送らない。

ignoring
 
どうやら目が合ってしまうだけで刺激を与えた事になるそうです。
 
仮に犬が好きでもやめておきましょう。
 

2.走らず素通りをする

walking
 
犬が近づいても走って逃げるのはNG。
 
私もやってしまったくらいなので気持ちはわかりますが、絶対に犬にはスピードで勝てないのでやめましょう。それどころか興奮させてしまうとのこと。
 

3.威嚇をする

threat
 
ここまでよく我慢しました。しかし残念ながら犬側はあなたを狩るようです。特徴として、吠えながら、牙を剝き出し、あなたの方向に走ってきたらこのステップを実行する合図です。
 
とにかく叫んでください。体を大きく見せたり、その辺に落ちている木の棒でもなんでも良いので全力で振り回してください。犬もあなたのことが怖いのです。
 
実は叫ぶのがポイントで、叫ぶことで犬を威嚇するだけでなく、現地の方など誰かが助けに来てもらえる可能性もあります。
 

4.応戦する

fighting
 
威嚇してもダメで、攻撃してきそう又は実際にしてきたなら応戦してください。
 
恐怖感もあり思うように体を動かせないかもしれませんが、諦めず一方的にかまれ続けるのではなく、石を投げる、振り回しているものを実際に当てる、蹴る等のできる限りの抵抗をしてください。
 
ただこれらのステップで嚙まれてしまうこともあります。その時は迷わず病院に行ってください。もちろん引っ搔かれてもアウトなのでこちらも病院に行ってください。
 
早ければ早いほど良いです。先程もお伝えしたように狂犬病は発症したら治療できないです。
 

 

さいごに

 
いかがでしたか?
 
今回はタイの野犬事情を私の実体験を交えてお伝えしてきました。
 
現在のタイではソイドッグの活動により野犬の保護や不妊手術を施して野犬を減らす取り組みの最中です。
 
彼らの活動で無責任な人間や恵まれない野生動物が減ることを願っています。
 
また私なりに野犬に襲われたときの対処法もお伝えしましたが、できれば遭遇すらしないのがベストです。
 
先に犬を見つけたら別の道へと回避するのもアリです。
 
今回の記事の内容を頭の片隅に入れてタイライフをエンジョイしてください。
 
それではコープクン・クラップ!またお会いしましょう!
 

LAB thaiko先生のブログ

LABthaiko先生のブログは2018年に産まれて日々多くの記事を作成しています。タイの様々なお役立ち情報を時にはタイ語を交えながらの記事にしたり、ニュースサイトとして、情報媒体としての役割を果たせるよう、もっと皆さんにタイについて知って頂けるようこれからも情報を発信していきます。