タイのお寺で食べ放題!?南部ならではのお祭り「ベジタリアン・フェスティバル」【2021年は10月6日~14日開催】

サワディーカー!LABタイ語学校です。

「ベジタリアン・フェスティバル」は「九皇大帝のお祭り」とも呼ばれるタイ南部の伝統的なお祭り。期間中、中国仏教徒を中心に、キンジェーと呼ばれる菜食を実践したり、頬に矢をクシ刺しする人々がパレードをしたり、タイを代表する奇祭のひとつといえます。

〈目次〉

1.「ベジタリアン・フェスティバル」の起源

2.「ベジタリアン・フェスティバル」ってどんなお祭り?

2-1 キンジェー(菜食)期間
2-2 「ベジタリアン・フェスティバル」の期間とお寺でのキンジェー
2-3 顔にクシ刺し!?トランス状態でパレード

3.「ベジタリアン・フェスティバル」の経済効果

4.2022年の「ベジタリアン・フェスティバル」は9月26日から9日間

タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿

 

1.「ベジタリアン・フェスティバル」の起源

「ベジタリアン・フェスティバル」の起源は200年ほど前の1825年。当時、中国からタイへの移民(現在の中国系タイ人)が多く、タイで暮らす中国人を励ますために、プーケットを訪れていた京劇団員が、原因不明の重病を患ってしまいます。その時、神に祈りを捧げながら厳格な菜食を行なったところ、病気がすっかり良くなってしまったという伝説が「ベジタリアン・フェスティバル」のはじまりといわれています。

この時の奇跡を起源に、幸福や平安を祈る菜食の儀式はプーケットを中心に、タイ南部で広がり、現在に至るまで続いています。中国系タイ人による中国仏教の伝統的祭事のひとつとして、菜食によって身を清め、神への忠誠を示すことで、幸運がもたらされるとされており、アタシが暮らすクラビをはじめ、タイ南部はこの時期、賑やかになります。

 

 

2.「ベジタリアン・フェスティバル」ってどんなお祭り?

2-1 キンジェー(菜食)期間

キンジェー(タイ語でキンは『食べる』、ジェーは『精進料理、菜食』という意)といわれる菜食のみで過ごします。あちらこちらで見かける「齋」という漢字は広東語で、タイ語でいうといころの「ジェー」つまり、菜食のことを意味します。黄色は仏教を表す色、赤色は中国でおめでたい色(多分、世界共通だと思いますが)なので、黄色地に赤文字で「齋」の文字をあちらこちらで見かけます。

菜食にする意味は身を清めるためであり、肉類(厳格を貫く場合魚介類も含む)、牛乳、卵、酒類はもちろんのこと、ナンプラーを含む味付けの濃い調味料、ニンニクやネギなど香りの強い野菜も食べないとか。通常、食べ物を売っていない場所でも「齋」の札を掲げた屋台があったり、スーパーやレストラン、最近ではコンビニでも、菜食総菜や菜食インスタント食品、ドリンクなどが売られています。

もうひとつ特長的なことは、この期間、キンジェーを行なうヒトは、白い洋服を着るということ。こちらの理由はよくわからないのですが、菜食と同じく、身を清めてこの期間を過ごすという意味があるのでしょうね。

 

 

2-2 「ベジタリアン・フェスティバル」の期間とお寺でのキンジェー


期間は、毎年陰暦で9月1日(日本でいう旧暦)から9日間行なわれ、2021年は10月6日〜14日が開催されました。暦によって、毎年この期間が異なりますが、クラビなどでは、お寺や街のあちらこちらに「齋」のマークや白い衣裳が売られるので「ああ、今年もこの季節がやってきたなあ」ということで認知します。

そして、もうひとつ特長的なことといえば、期間中、お寺で無料でキンジェーがいただけるということ。もちろん、いただく前におまいりをして、タンブン(おさい銭)をして、中へ入り、大勢がいる食堂のような場所へ移動します。

大量のごはん、おかずや汁物が十数種類用意されており、自分で好きなだけよそって、空いている席につきます。2年前のコロナ前に一度体験してみたのですが、辛くない料理を見つけるのがたいへんでした。パートンコーという揚げパンのような作りたてのものをいただけたり、とても貴重な経験でした。

昨年2020年はコロナ禍でも開催されていましたが、今年2021年は残念ながら、この無料のキンジェーは、コロナの影響で中止。 去年まで朝昼晩とお寺に通い、食費を浮かしていたアタシの知人は、とてもガッカリしていました。

2-3 顔にクシ刺し!?トランス状態でパレード

こちらも残念ながら、今年2021年はここクラビでは催されませんでしたが、例年、最終2日に街を顔にクシ刺しをしたトランス状態の人々がパレードを行なうという、伝統儀式が開催されます。写真は2年前のもの。初めてパレードに参加したところ、直視できないほどショッキングだったことを今でも鮮明に覚えています。聞いたところによると、本当に矢のようなものを顔に刺しているらしく、それほど痛みは感じないそうです。

これは、自身を痛めることで、普段の生活では得られないようなトランス状態に入り、神に近づこうとしているものだとか。最初はこわごわ見ていたのですが、何かに取り憑かれているような、彼らの真剣な目つきを見ていると、こちら側も段々と精神が研ぎすまされるような、そんな気持ちになっていくから不思議です。

クラビでは見かけませんでしたが、起源となったプーケットでは、白装束を身にまとった「マーソン」と呼ばれる信者が、火の付いた炭の上を裸足で歩いたり、刃のはしごを登ったりする苦行もあるのだとか。今年、クラビではトランスパレードは行なわれませんでしたが、代わりに白装束をまとった信者が、 長時間、 お経のような大音量の音を流しながら、おまいりをしている様子を目にしました。

これは、例年無料キンジェーが行なわれているお寺の中で見たもので、いつもなら無料キンジェーの恩恵にあずかろう、としている人々でごった返している場所で、黙々と祈りを捧げている姿を見て、なんだかとても神聖な気持ちになり、後方からそっと手を合わしてきました。

 

 

3.「ベジタリアン・フェスティバル」の経済効果

2020年、コロナ以降のデータを見つけることができなかったのですが、コロナ前の経済効果について、カシコン銀行の調査結果が出ていました。

【ベジタリアン・フェスティバルの経済効果】

46億5,000万バーツ(2018年)
47億6,000万バーツ(2019年、前年度比約2.4%アップ)

【ベジタリアン・フェスティバルへの参加意識調査】

<参加の意志を表明したタイ国民>
57.1%(2018年)
66.7% (2019年、前年度比約17%アップ)

※中国系タイ人約90%、非中国系タイ人約10%にアンケート

中国系タイ人が中心とはいえ、これだけ多くのタイ国民の関心が集まっていること、バンコクでもヤワラート(中華街)付近でも長いキンジェー屋台が出ること(今年はどうだったのでしょうか)、そしてこの経済効果の高さを見据えて、2020年から参入しようしようとしていた日本企業もあるようです。けれども、残念ながら、コロナの影響により立ち消えになってしまったようで、スーパーなどでも日本企業によるキンジェー食品を見かけることはありませんでした。

 

 

4.2022年の「ベジタリアン・フェスティバル」は9月26日から9日間

気の早い話ですが、来年2022年は、9月26日〜10月4日までが、「ベジタリアン・フェスティバル」の期間。約1年後ですが、この時にはタイ随一の奇才の本格的復活を期待して、タイ南部へ訪れる計画を立ててみてはいかがでしょう。きっと、無料でお寺のタダ飯、ではなく、神聖なる精進料理が味わえるはずです。

 

タイ・クラビ在住chinagaの寄稿でした。

 

LAB thaiko先生のブログ

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