タイ政府が“タイ猫”を国家の象徴に — タイ原産猫の魅力とは?
サワディーカー!LABタイ語学校です。
本日は、今月タイで「国家の象徴(ペット部門)」として正式に認定された、街中でもよく見かけることがある「猫」について紹介します。
【猫にまつわるタイ語単語①】
แมว
メーオ
(意味)猫
ลูกแมว
ルーク・メーオ
(意味)子猫
อาหารแมว
アーハーン・メーオ
(意味)猫の餌
タイは「猫の国」?
タイの道端などには猫がいることが多く、近隣住民からも観光客からも可愛がられている様子をよく見かけます。
タイでは古くから、猫は寺院や王宮で飼われたり、守り猫や縁起の良い存在とされたりしていました。文献(たとえば古い猫に関する詩集・書物)にも、複数の猫種が描かれています。
実際に、2025年11月、タイ政府は純粋な「タイ原産猫」を、「国家の象徴(ペット部門)」に正式に認定しました。これにより、文化的・遺伝的価値の保護、純血種の保存、ブランド化などが推進されることになっています。
タイ原産猫たちは、単なるペットではなく、「タイの歴史」「文化」「民族のアイデンティティ」に深く根付いた“生きた遺産”と見なされているのです。
🎯 なぜ「国の象徴」としたのか — 背景と目的
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文化・歴史の保護:タイ猫は何世紀にもわたり、タイ社会・信仰・日常生活の中に根づいてきました。人々の暮らし、伝統、民話、寺や王宮での飼育などとも深く関係しており、「タイ文化の一部」と見なされています。
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遺伝資源の保全と血統の保護:近年、タイ原産猫は世界的な人気が高まり、海外のブリーダーなどから“純血”の登録をしたいという動きがあったそうです。外国による無秩序な登録や品種改変に対し、「タイ固有の猫である」という法的・文化的な根拠を持つことで、保護を強化する狙いがあります。
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文化のソフトパワー化・経済的活用:タイ猫を国のソフトパワー、文化資産としてブランディングすることで、「クリエイティブ経済」「観光」「ペット産業」「輸出」などでの活用機会を広げようという戦略の一環です。純血猫の繁殖や関連産業の振興が期待されています。
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国民の誇りとアイデンティティ強化:「象 → 闘魚 → ナーガ → wai(挨拶)…」のように、これまでも様々な国定シンボルがあったが、今回「猫」が加わることで、より庶民に身近で親しみやすい“国の象徴”が増えました。これにより、国民のアイデンティティや文化への愛着を高める狙いもあります。
🌍 国際的な意義・今後の影響
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タイ猫はすでに国際的にも知られていて、人気があります。今回の認定により「タイ発祥の純血猫」という立場が強化され、海外の“タイ猫ブーム”にも法的・文化的な裏付けが与えられるのではないでしょうか。
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血統管理や保存、品種基準の整備が進むことで、安易な交雑や「外国流通のみ」が広がることに歯止めがかかる可能性があります。タイ猫の遺伝的・文化的保存という観点からは重要な一歩です。
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また、タイ国内での純血猫のブリーディング/飼育文化、ペット市場、観光(「タイ猫見るツアー」「猫関連文化体験」など)の発展も期待されています。
タイ原産の猫
Wichienmaat/วิเชียรมาศ(ウィチアンマート)
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ウィチアンマートは、タイが起源の伝統的な“ポイントカラー”(耳・顔・足・尻尾などが濃色で、体は淡い色)が特徴的な猫です。英語では “Thai cat” や “Old-Style Siamese / Traditional Siamese / Classic Siamese” とも呼ばれています。
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外見は、現代の西洋でよく見られる「モダン・シャム猫」と比べると、体つきや顔つきがより丸みを帯び、過度にスリムではない“伝統的な体型”です。
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性格は穏やかで人懐っこく、家族と強い絆を結ぶ傾向があり、賢くて好奇心もあると言われています。
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この猫種は、19世紀に欧州に輸入され、「シャム猫(Siamese cat)」の起源のひとつとされました。
Korat/โคราช (コラート)
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コラートは、銀〜青みがかったグレーの短毛の猫で、瞳は黄緑〜緑系。体格は小〜中型、筋肉質でスマートです。別名は「Si-Sawat(シー・サワート)」。
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歴史的には長くタイに存在し、昔から「幸運や純潔」のシンボル、あるいは幸せをもたらす猫とされてきたようです。
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現存するタイの純血猫のひとつで、外国でも一部でペットとして飼育・ブリーディングが行われています。
Suphalak/สุพรรณหงส์ (スパラック)
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スパラックは、全身が銅色(赤みのある茶褐色)の短毛猫。タイ古来の猫として、昔から存在したとされる品種です。
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他の猫種との交雑を禁じ、純粋なタイ原産猫として保存されてきた歴史があります。
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西洋の“ハバナブラウン”とは別系統で、まさに「タイ固有」の猫種です。
Khao Manee/ขาวมณี(カオ・マニー)
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カオ・マニーは真っ白な被毛を持つ猫で、目の色は青、金、緑、あるいは左右で違う「オッドアイ」の個体もあり、世界でとても希少な猫です。
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古くからタイで飼われてきた猫で、王宮や寺院などでも特別な扱いを受けたと伝えられています。
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その希少さから、現在でも尊重され、保存と保護が重要視されています。
Konja/กอญจา(コンジャー)
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コンジャーは全身が真っ黒な短毛の猫。古くからタイに存在する猫のひとつで、現在も純血が保たれています。
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外見はシンプルですが、その希少性と長い歴史から、“典型的なタイ原産猫” のひとつとして価値があります。
(豆知識)猫を見かけた時の注意点
街で猫を見かけた際には、注意しなければならない点もいくつかあります。
① 野良猫への触れ合いは慎重に
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タイには飼い猫ではない野良猫がとても多いです。
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人懐っこい猫でも、病気やノミ、ダニを持っている場合があります。そのため触れ合いなどはできるだけ避けるようにしましょう。
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無理に近づかず、猫の様子を見てから近寄るのが◎。特に子猫は母猫が警戒して攻撃することもあります。
② ワット(寺院)の猫には礼儀を
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寺院の猫は僧侶や参拝者に守られています。
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大声で騒ぐなどはNGです。
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仮に食べ物を与える場合は僧侶に確認するようにしましょう。
タイでは寺は猫の「安全地帯」として大切にされています。
③ 噛みつき・引っかきに注意
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かわいくてもストリートキャットは警戒心が強いです。
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手を急に伸ばしたり、しつこく触らないようにしましょう。
もしも怪我した場合は、すぐに病院へ行くようにしましょう。
※狂犬病(Rabies)がタイではまだ完全には根絶されていません。動物に触れ合う際は細心の注意が必要です。
④ 露店の食べ物に注意
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猫が食べ物を狙って近づくことがあります。
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とくに屋台や市場では、テーブル上に食べ物を置きっぱなしにしないことを心がけましょう。
⑤ 写真の撮り方にも配慮を
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フラッシュ撮影は猫の目に負担になります。極力フラッシュ撮影は避けましょう。
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寺院では猫がご本尊の前で寝ている場合もあります。写真を撮影する場合は、周囲の参拝者の迷惑にならないようにしましょう。
最後に
今回は、タイの「猫」について紹介しました。
タイでは道を歩いてると1日に何回か遭遇するほど猫が多く、猫はタイの生活に浸透しています。また、今年11月には「国家の象徴」としても国として正式に認可されました。今後、より国内でも猫の保護が進んで欲しいと思います。
もしタイに訪れた際は、ぜひ猫を見つけてみてはいかがでしょうか!✨
【タイ原産の猫の品種】
วิเชียรมาศ
ウィチアンマーッ
(意味)シャム猫の原種
ศุภลักษณ์
スパラック
(意味)トンキニーズ系の元祖







