タイの食品輸出強し。上半期(2021)前年度比4.5%アップ
サワディーカー!LABタイ語学校です。
世界市場からの需要が高まったため、コロナの影響があるにもかかわらず、2021年上半期の食品輸出は4.5%上昇して6,277億バーツになったと、タイ政府産業省が発表しました。その理由は一体何なのだろう、と気になったため調べてみることにしました。
タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿
1.タイの食品輸出が、好調なワケとは
コロナ禍のなかにもかかわらず、2021年のタイ食品輸出が4.5%アップの6,277億バーツとなりました。さらに、2021年度下半期はさらに加速すると考え、年間を通して7.1%増の1兆500万バーツになると予測。
【タイの食品輸出の推移(2021年度)】
※2021年度上半期(1月~7月)・実績
6,277億バーツ(前年度比4.5%増・<2020年実績=6,006億バーツ>)
※2021年度下半期(1月~7月)・予測
4,273億バーツ(前年度比11%増・<2020年実績=3,749億バーツ>)
●2021年度 食品輸出合計額(予測)
1兆500万バーツ(前年度比7.1%増・<2020年実績=9,755億バーツ>)
この理由のひとつとして、コロナが蔓延するなか、魚介類の世界の輸出市場として名高い、アフリカ、中東、アジア(特に中国)の漁獲、在庫のレベルが下がったためといわれています。また、 今年の1月から7月にかけて、タイのメインの食品輸出先である中国、米国、ヨーロッパ地域で、パンデミックの終焉が近づきつつあることで、コロナ前の需要に戻ってきているためと理由もあげられています。タイの産業省も「中国の食品需要は景気回復により40%増加した。米国もヨーロッパも同様の傾向になるため、食品、特にシーフード製品の輸出が増加するだろう」と述べています。
もうひとつの上昇理由のひとつとして挙げられているのが、世界各国のレストランなd飲食店が、セグメントを重点的におき、マーケット戦略を打ち出し、チャネルの拡大が広まったためです。タイ政府関係者によると「タイのシーフード製品、エビ、パイナップルの缶詰、キャッサバ(タピオカの原料)、ココナッツ、ココナッツミルク、タイの調味料、そしてすぐに食べられる加工食品が、現在世界市場で高い需要があり、需要はさらに成長する傾向にあります」と語ります。最近は少し不安定になりましたが、バーツ高も相まって、食品輸出が好調の理由といえるでしょう。
2.タイの金融緩和は、食品輸出のため!?
つい先日、タイの財務大臣は、金融政策緩和を推進し、経済を支えるための財政政策をとっていくと発表。これは、タイの輸出産業が2021年度の経済成長を支えるため、と名言。つまり、好調である輸出業をさらに後押しするため、金利を最低の0.5%に維持して、今後、タイ国内における借り入れを増やすために公的債務の上限を引き上げました。さらに、「トンネルの終わりにはまだ光が見えている。経済は今年成長するはずだ」と、今年も1.3%の経済成長を見込んでいると、具体的な数字まで述べています。
これは、強気の発言で、タイ経済を後押ししようという側面もありますが、ここにきて輸出業が上昇しているという好情報をバックボーンに、そこをさらに押し上げていこうという考えがあると思われます。たしかに、このネガティブな状況下のなかでの輸出業の成長。これをプラスに捉え、タイらしいマイペンライ精神で、いい方向にいくのではないか、と思わせてくれます。
さらに、最近、紙たばこの増税を発表。これも、経済成長を後押しされる一環ではないかとされています。懸念材料としては、違法なタバコが市場に出回るのではないかという説が流れていること。タイらしいといえばタイらしいですよね。
3.世界的なシーフード企業、タイユニオンは2020年に60億バーツもの設備投資アップ
世界的なシーフード企業であるタイユニオングループ(TU)の社長兼最高経営責任者Thiraphong氏によると、来年2022年、代替タンパク質、機能性食品など、イノベーションを推進する新興企業向けの新技術に焦点を当てた潜在的なプロジェクトを含め、50~60億バーツの新規投資を計画していると述べました。TUはさらに、環境に配慮した代替食品として、植物ベースのタンパク質をベースにした新しい食品ビジネスユニットを設立。健康的な食品に敏感な欧米諸国を含む、10か国以上への輸出を狙っています。
さらには、この9月にはサプリメントブランド「Zeavita」を設立。に特化した新たな小会社を設立し、サプリメント、ヘルスケア製品、バイオテクノロジー製品の製造、流通、開発に注力しています。これは、世界的な需要の増加、バーツ高、サプリメントや植物ベースのタンパク質への事業の多様化の成功により、2年で収益が見込めると予測。これは、冷凍・冷蔵シーフードの輸出が思いのほか好調だったために、新規事業に着手できたとも語っています。
【タイユニオングループ(TU)の収益の推移】
2017年 1,390億バーツ
2018年 1,350億バーツ
2019年 1,280億バーツ
2020年 1,340億バーツ
2021年 1,407億バーツ(推測)
※2020年、60億バーツ以上の純利益を計上。これは同社初の最高利益ベース。前年度比30%アップ。2021年度はさらに純利益が増加すると予想。
4.コロナ禍において躍進しつづけるタイ食品輸出業
調べてみるまで、これほどにタイの食品輸出が好調だとは知らなかったのですが、ステイホームになり、飲食店はもちろん家庭でも、食事だけでなく食材までオンラインで注文することが、食品業界、ひいては輸出業への伸びへと繋がったのだと思います。自由に外出ができない状況での楽しみといえば、食事ですものね。
タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿でした。