[雑学] 語源が同じタイ語と日本語まとめ
タイ語といえば独特な文字を使い、声調など発音が難しくなかなか勉強する気になれない方も多いと思います。でも実は私たちが話す日本語由来だったり、日本語と語源が同じ言葉も結構あるんです。タイは中国とインドの文化を強く受け、その影響はタイ語の言葉にも及んでいます。日本語も古来からインドから仏教を受容し、中国文化を輸入しているため、タイ語と同じルーツを持つ言葉があります。日本語と語源が同じタイ語を学んだところで、決してタイ語は話せるようになりませんが、面白さを感じ取っていただければタイ語学習のモチベーションや、飲み会でのネタになるかもしれません。
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古代インド語由来の日本語、タイ語
インドは2500年前にお釈迦様が仏教を開いた国です。お釈迦様が説教をしたり、僧侶が経典をまとめる時にサンスクリット語やパーリ語が使われました。これらの言葉は仏教とともに日本やタイに入り、仏教用語として今日まで生き残っているものもあります。
奈落(ならく)
「奈落の底に落ちる」で一度は耳にしたことがある言葉だと思います。奈落は本来は地獄という意味でしたが、現在は舞台の下の暗い空間の呼び名で使われています。
タイ語ではนรก Narok ナロックという言葉があり、地獄を意味します。
奈落は古代インド語のサンスクリット語のनरक Naraka ナラカという言葉が語源で地獄を意味します。
旦那(だんな)
日本語で旦那は夫や主人という意味で使われることが多いですよね。実はもともと日本では寺院に寄進をする人や、祈祷を依頼する人の呼び名でした。寺院に寄進する人は財力がある人ですから、奉公人達が財力がある人を旦那と呼ぶようになり、今は主人や夫を旦那と呼ぶようです。
旦那の語源は古代インド語のदान dāna ダーナが語源でお布施という意味です。タイ語ではทาน thaan ターン という言葉で伝わっており、食べる、お布施といった意味があります。
さらに追加すると、実は旦那と英語のdonar ドナー(意味:寄付者)も語源が同じだと言われています。サンスクリット語の元になった言葉の一つに印欧祖語という言語があります。印欧祖語とは6000〜4000年前のインド人やヨーロッパ人の先祖が話した言語で、ヨーロッパ系言語と古代インド語に大きな影響を及ぼしました。印欧祖語で贈るを意味するdonum ドヌムが英語でdonerと残ったようです。
獅子(しし)
獅子は日本語ではライオンっぽい伝説の生物、狛犬の角がない方を表します。年配の方はたまにライオンを獅子と呼んだりします。アジア圏のライオンを表す言葉はどれも非常に似ており、多くは同じ語源です。例えば沖縄のシーサーは獅子の琉球発音です。小型犬にシーズーという犬種がありますが、あれは中国原産の犬で中国語で獅子(シーズー)と書かれます。
タイ語でライオンはสิงโต sintoo シントーと言います。語源はサンスクリット語でライオンを表すसिंह Siṃha シンハーです。シンハービールの元にもなっています。また同じ語源のマレー語のsinga はシンガポール(ライオンの街)に使われています。
おまけ情報ですがシンガポールのポールは街を意味するマレー語のpuraプーラが元となっています。この語も語源をたどると印欧祖語にたどり着きます。インドのジャイプル、ギリシャ語で都市を表すポリス、トルコのイスタンブール、ドイツのハンブルグなど〜ブルグ、バーグという地名、タイのトンブリー、ペチャブリーなどのブリーは同語源です。
僧(そう)
僧は仏教徒の出家者を表す言葉です。語源は古代インド語のसंघ Saṃgha サンガです。中国にこの言葉が伝わったときに僧という漢字に音写されました。サンガとソウは全然似ていないように感じますが、僧は中国語読みではsēng サァンと言います。
タイ語では僧のことをพระสงฆ์ phrasong プラソンと言います。プラはタイ語で聖なるという意味で、これも語源が古代インド語のサンガです。
袈裟(けさ)
お坊さんの着る服である袈裟の語源はサンスクリット語のkāṣāya カーシャーヤです。壊色・混濁色つまり汚い色という意味で、初期仏教の出家者は執着しないから汚い布をまといなさいという教えの布の色を表しています。タイ語ではกษาย kasaai カサーイと言う言葉で伝わり袈裟の色を表す言葉となってます。ちなみに古代インド語の子孫で現在インドで使われているヒンディー語ではख़ाकी khākī カーキーと言います。ここでピンときた方もいらっしゃると思いますが、カーキ色の語源なんです。インドに駐留したイギリス兵が白い夏服の汚れを嫌って土色に染めてカーキと称したことに由来します。お坊さんと軍人という全く違う職業の服の語源が実は繋がっていると考えると面白いですよね。
まとめ
今回は様々な言語の成り立ちを紹介いたしました。言語はただ言葉だけを見ると無機質に感じますが、成り立ちや共通性を見つけると知的好奇心がくすぐられ面白く感じます。皆さんも身の回りにある言葉の語源はなんだろうと考えてみてください。きっと新しい発見がありますよ。
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