タイのお守りプラクルアンは骨董品や金融商品にもなる?! 

皆さんはプラクルアンもしくはクルアンラーンというタイのお守りを知っていますか?
タクシーやバイタクの運転手がよく首にジャラジャラかけているお守りです。
お寺を始め、露店や市場などで売られており、安いものは数十バーツから購入できるためタイにはコレクターがたくさんいます。
日本のお守りのようにご利益を祈願するだけではなく、投資や経済など俗人的な分野とも関係があり、タイ人の宗教観や国民性を観察する上でも非常に興味深い物です。
今回はタイの不思議なお守り、プラクルアンについて紹介いたします。

 

 

 

1.プラクルアンとは

プラクルアンとはタイのお守りで粘土や金属、セラミックなど様々な素材や形があります。原型はインドなど仏教圏にあった、プラピムと呼ばれるレリーフ形式の仏像です。粘土に仏像の形をスタンプし焼成したもので、仏塔に奉納したり修行僧の精神集中に使われたりしました。日本仏教界にも中国を経由して、塼仏(せんぶつ)として伝わりましたが、鎌倉時代以降廃れてしまいました。

タイでプラクルアンが普及したエピソード

現在のタイ人はプラクルアンを首からかけたり、自宅や車の中に安置したりとお守りのように扱われていますが、それは19-20世紀になってからです。タイで信仰されている上座部仏教の教えでは本来、神秘的な力のあるお守りなどはありません。プラクルアンやその前身のプラピムは4世紀頃から奉納や儀式のために作られ、聖職者以外触れる機会のないものでした。一般市民に普及したのはラーマ5世の治世(1868~1910)です。寺院の盗掘や発掘により出土したプラクルアンが骨董品として大量に出回り、ありがたそうだからと身につけてみた人が現れ、その人たちが事故や不幸を逃れたと噂を流したため、不思議な力があるお守りとして信仰され始めました。

現在販売されているプラクルアンについて

プラクルアンの作られ方には大きく2つの方法があります。一つはラーマ5世以前の古い時代に作られ発掘や盗掘によって市場に出回ったものです。基本的に古いものほど高価で取引されます。もう一つはラーマ5世の治世以降に寺院がお守りとして製造販売したものです。現在出回っているプラクルアンのほとんどはこれに当たります。同じ雛形で最初に作られた物や高僧の体毛や遺骨を練り込んだものなどが高値で取引されています。数年に1回、寺院の創立記念日や寺院の改修などによる寄付の返礼に販売されます。

プラクルアンは買えない?

プラクルアンは聖なるものであるため買う(ซื้อ sww スー)と言いません。形式上ですが借りる(เช่า chao ジャオ)と言います。またプラクルアンを身につけて幸運があったら他の人に譲ると良いと考えられ、実際に事故で生き残った人の身につけていたなどストーリーがあるプラクルアンは高値で取引されています。

2.お守りだけではないプラクルアンのもつ側面

ここまで宗教的なお守りとしてのプラクルアンを紹介してきましたが、ここからはそれ以外のビジネス関係のプラクルアンを紹介いたします。

高級なプラクルアンは信じられないような値段で取引される

古い遺跡から発掘されたプラクルアンや限定品、ストーリーのあるものや流行のものは高値で取引されます。100万円程度のものはザラにあり、最も高級なものは数十億円すると言われています。高級なプラクルアンはお金を借りる際の担保になったり、車や家の購入の支払いにも使われます。また高級なプラクルアンは偽物が多く出回っており、その真贋を見極める鑑定師の職業がうまれました。さらに一般市民も真贋を見極めるためにプラクルアンの雑誌で勉強しています。プラクルアンの専門誌は数百誌あると言われ、市場規模は100億~300億円と言われています。このようにプラクルアンはお守りとしてだけでは語りきれない特徴があります。

投機対象にすらなるプラクルアン

高価なプラクルアンは値段の変動を利用して投機商品にもなっています。プラクルアンにはその時々の流行りのデザインがあります。流行を読んで流行る前のプラクルアンを安価で大量にストックし、値段が上がってから高値で売り利益をあげている人もいます。また知識がある人は市場に流通しているものから掘り出し物を見つけ、鑑定書を付けて高値で販売している人もいます。プラクルアン専門誌がたくさんあるのも、信仰心だけでなく財テクとしてプラクルアンを使おうとしている人が多いからかもしれません。

3.プラクルアンの種類やデザインについて

プラクルアンには様々なデザインがあります。プラクルアンに関する日本語の情報が少ないため詳しい名称についてわかりませんが、いくつかご紹介いたします。

プラクルアンの様々なデザイン

プラクルアンは大きさや素材、形が様々です。

ケースには仏像の名前や、製造年や製造元のお寺の名前が書いてあります。

手より大きいものから小さいものまでサイズは様々です。

中国系寺院には大乗仏教の観音菩薩のデザインのものもあります。他にもヒンドゥー教の神様や高僧、国王や動物など様々な形のものがあります。

聖なる(?)針のようなものが埋め込まれたものもあります。寺院改修の際に古くなった建物の破片を入れたり、高級なものでは高僧の体毛や遺骨が練りこまれています。

約10年前に大流行したプラクルアンだそうです。タイ南部ナコンシータマラート県のお寺のものだそうです。

個人的に好きなのはルアンポークーンと呼ばれる高僧のプラクルアンです。
彼はタイで最も有名な僧侶だそうですが、それより彼のプラクルアンのデザインがどれもうんこ座りでタバコを吸っているので、まるでコンビニ前にいるヤンキーのようです。

インターネットの拾い物ですが、apple watchをプラクルアンにした人の写真を見つけました。テクノロジーと伝統の融合って感じがして面白いと思いました。100年か1000年後の未来の人はVRやプロジェクションマッピングの仏像を拝むのかもしれませんね。

まとめ

プラクルアンには「タイのお守り」という言葉では表しきれない特徴があり、そこからタイ人の仏教への信仰心と信仰の対象を投機対象にしてしまう合理さを感じました。皆さんもお寺や露店を見かけたときにぜひプラクルアンを探してみてください。
プラクルアンの市場の様子の動画です。英語ですが雰囲気を感じていただければと思います。

 

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Kazuya Umezawa

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