タイのサザン!?サンタナと競演!!ロックバンド「カラバオ」の人気の秘密とコロナ禍の活動

サワディーカー!LABタイ語学校です。

タイのサザンオールスターズと呼ばれている、タイで一番ポピュラーなロックバンド「カラバオ」。リーダーの通称エートの歌声はタイの人々だけでなく、私達外国人の心をもグッと掴んでしまう、その秘密を探ってみました。コロナ禍での支援についてもご紹介!

タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿

 

1.「人生のための歌」というジャンルを生み出したカラバオのルーツ~1979年

カラバオのリーダー、エート・カラバオ(本名ユンヨン・オーパークン、通称エート)が、フィリピンのマプア工科大学で学んでいた時、同郷タイ人学生(メンバーのケオとカイ)と出会い、3人でバンド「カラバオ」を結成したことから始まります。ちなみに「カラバオ」とは、フィリピン・タガログ語で水牛という意味で、カラバオのシンボルマークとしても使われています。水牛は農作業などつらい作業をすることから、農民の苦しみや忍耐を表現する、という想いが込められて付けられた名前です。

リーダーのエートは、1954年、スパンブリー県で、華僑系移民の家系として生まれました。父親はルクトゥン(タイの現代大衆歌謡の一種)バンドのマネージャーや作家、郷土史家、地方新聞の先駆者として、地元では高く評価されていた人物でした。エートは幼い頃からタイの民族音楽やダンスに接し、10代の頃には西洋音楽、特にロックの影響を受け、ギターを演奏をするようになり、これが現在のバンド活動につながっているといわれています。

メンバーと知り合い、バンドを結成したフィリピンの大学では、建築を学んでいたということから将来は建築家を目指していたようです。実際、大学卒業後、タイに戻り、建築業界に就職。週末には、マンダリンホテルなど高級ホテルのラウンジで演奏していたのですが、仕事を無断欠席したことでクビになってしまい、それからバンド活動に専念するように。1979年本格的にデビュー。活動は40年以上にもなります。

 

 

2.ブレイクしたのは「アンダマンの涙~ 津波」~2004年

2004年12月、スマトラ沖地震による津波で、タイは多くの被害を受けました。エート自身もとても親しい知人をこの時失ったそうです。津波の直後に作った、鎮魂歌「アンダマンの涙~津波」という歌は、アンダマン沖で大きな被害にあった人々の救出や被害を映し出すテレビのバックミュージックとして、ずっと流れていたとか。

この頃から、時には地方の飛行場で野外ライブを行なったり、小さなバーやライブハウスなど、会場にこだわらず、あらゆる場所で毎日ライブをするバンドとして有名になりました。通常は数千バーツはするであろうチケット代が、工場で働く労働者のために主催された時に200バーツで提供したり、と人情味あふれるライブ活動をしています。現在はほとんどライブ活動が行なわれていませんが、時々、動画をアップしたりして、タイの人々を励まし続けています。

 

 

3.サンタナと競演~2011年、2016年

2011年と2016年、アメリカのラテンロックで有名なサンタナが来タイ。その際、カラバオが競演しました。カラバオとサンタナには共通点がたくさんあります。まず一番似ているのがリーダーのエート・カラバオとカルロス・サンタナの風貌というかスタイル。ヒゲとサングラスと帽子は、ファンの間でも噂になっています。もちろん、表面だけでなく音楽スタイル、曲全体の雰囲気やサウンド、リズムやテンポも似ています。ゆえにタイではサンタナはとても人気があり、2011年の同時期にタイでライブを行なったエリック・クラプトンよりもサンタナに人気が集中したそうです。

なぜ、これほどまでにカラバオはタイの人々の心をとらえるのでしょうか。これは、暗くて、悲しくて、ヘビーな歌詞をノリが良く、独特なタイロックのリズムに乗せたことにあるようです。タイ人は、その歌詞に共感や希望を見出しているのでしょうが、カラバオはタイ語がわからない、外国人にも多くのファンが多くいます。これは、エートの歌声にあると思います。日頃、ブロックしている心を解放するような生命力のあふれる声なのです。もちろん、ギターの演奏も素晴らしく、そのテクニックには圧倒されてしまいます。

 

 

4.コロナ禍で自ら現地におもむき寄付ー2020年~

2004年の津波の際にいち早く曲を作り、タイの人々に届けたように、コロナ禍が始まってからは動画で歌を届けるだけでなく、数々の支援を行なっています。近々でいえば、この8月だけでも、3回以上、タイ国内に自ら出かけて支援を行なっています。

8月4ー6日 【バンコク近郊】

・シリンドホルン病院

・退役軍人病院

・タマサート病院

・フラモンククラオ病院

・パンナ病院

・パンクランガヘルスセンター

※お米、飲料水、牛乳、果物やドライフードを提供。

8月8日 【カンチャナブリ県】

・マカラク病院

※飲料水、ドライフードなどを提供。

8月14日 【ナコーンサワン州】

・ワンプラチャック病院

※換気装置を購入するために210,000バーツ寄付。

時にはエートが奥さまを伴って、自ら各地に行って人々を励まし続けるその姿勢に、ますますカラバオに惹かれてしまいます。

 

 

5.心に響く音楽をこれからも

タイの音楽にはプアチーウィット(人生のための歌)というジャンルがあり、貧困や対立、望郷の想い、そして社会が抱える様々な問題や人生について歌っています。カラバオはその先駆者でいながら大御所的存在です。一度聴いてみてください。音楽って偉大です。

【カラバオ・オフィシャルyou tubeサイト】

https://www.youtube.com/channel/UCKYGWGTnpjV5HWUw6_woI5w

 

 

タイ・クラビ在住chinagaの寄稿でした。

 

 

LAB thaiko先生のブログ

LABthaiko先生のブログは2018年に産まれて日々多くの記事を作成しています。タイの様々なお役立ち情報を時にはタイ語を交えながらの記事にしたり、ニュースサイトとして、情報媒体としての役割を果たせるよう、もっと皆さんにタイについて知って頂けるようこれからも情報を発信していきます。