ソンクラン 2021 レポート。水かけなし!マスクあり!第三波到来!静か!? 混乱!?
サワディーカー!LABタイ語学校です。
祝日は例年より2日間増えたものの公の場でワイワイと行なう水かけ、いわゆるお祭り的な要素が禁止されたソンクラン2021。結果的にいつも通りではないものの、通常であれば体験できない!?したいと思わなかった!?厳かなソンクランを味わうことができました。
タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿
วันที่ 10 เดือนธันวา เป็นวันรัฐธรรมนูญของไทย
ワンティー 10 ドゥアン タンワー ぺン ワン ラッタタッマヌーン コーン タイ
12月10日はタイの憲法記念日です。
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1.そもそもソンクランとは
ソンクランとは、タイの旧暦における新年、つまり旧正月にあたり、タイ政府によって4月13日~15日と定められて祝日扱いとなっています。日本でいうところの三ガ日ですね。もともとは純粋に新年を祝うもので、家族親族が一同に集まり、年配者の手に水をかけお清めを行ない感謝を伝え、家やお寺にある仏像に水をかけて先祖を尊ぶ、といったタイ仏教の伝統的なしきたりとしての水をかけるという伝統がありました。これがいつしか、よく写真などで見かける「水かけ祭り」へと発展していくのです。
例年、ソンクランを目当てに訪タイするヒトも少なくはなく、一説には「アジア最大のお祭り」と言われています。英語では「Songkran Festival」と表記される通り、ソンクランはお祭りの一種。通年この時期は飛行機や長距離バス、ホテルなど値が上がります。タイ仏教のお祭りにつき、一部の飲食店もクローズしてしまうことも。ソンクラン期間はお目当てのレストランやバーなどに行けないこともあるのでご注意ください。外国人旅行者はもちろん、タイ人たちもそれぞれの田舎へ帰るヒトがほとんどなので、バンコクなどは外国人であふれかえり、地方は帰省したタイ人たちで溢れかえります。
タイで暮らす何年か前、このソンクランを体験したくてタイに旅したことがあります。普通に移動などできませんでした。歩けば水をぶっかけられ、水鉄砲を片手にソンテウに乗ると、氷水をバケツでぶっかけられたり。暑い時期なのに、途中で寒くなってしまいブルブル震え出し、とうとう風邪までひいてしまいました。当時、在バンコクだった友人が、こぞってミャンマーやマレーシアの近場の国外へ脱出していたのが不思議でたまらなかったのですが、体験してみてわかりました。このお祭り、激しすぎる。楽しかったですけれどね。
2.ソンクラン 2021におけるタイ政府からの要請とは
昨年はコロナ禍の影響でソンクランそのものが中止となり、その分、今年は10日~15日が祝日になると早くから発表されていました。ところが、タイにコロナ禍第三波がやってきて、ソンクラン直前、道路やクルマでの水かけ、白パウダーを塗り合うこと、大人数で集まることが禁止。ただ、それぞれの家やお寺で年配者や仏像に水をかけたり、県をまたいで移動して親族とともにソンクランを過ごすことは許可されたため、タイ人の多くはそれぞれの故郷に帰ったり、休日を楽しんだりしていたようです。
バンコクやチェンマイでコロナ羅患者が急激に増え、あまり移動しないようにというお達しがなされ、途中、特定地域からの移動者は14日間の待機期間が通達されました。それでも、ここクラビには多くのタイ人観光客が訪れ、知り合いのホテルはバンコクからやってきたファランで満室になったとか。「キャンセルはなかったの?」と聞くとそのホテルのオーナーいわく「バンコクがコワイからクラビにやってきた」とお客さんが答えたそう。ほとんどがバンコクへと帰ったそうですが、一部のコワイと思っているファランが、現在もホテルにステイしたままだそうです。
旅行会社を営む日本人の友人に聞いたところ、バンコクからクラビへの旅行予約をした日本人の半分以上、キャンセルがあったそうです。あるお客さんは「クーラー付きの乗用車はコワイので(コロナ対策として)、ソンテウなどオープンエアなクルマで移動したい」と申し出があったそう。なるほど。コワイからバンコクから逃れてくるファラン。感染が少ないクラビでも万全の対策を考える日本人。マスクの位置が口と顎、ほぼ半々なタイ人。お国柄!?文化!?の違いが現れていて、興味深く感じました。
3.ソンクラン期間、朝ごはん処が大混雑
ソンクラン祝日スタートの前日、9日の夕方のこと。友人とホームパーティをするためにマクロへ買い物に行ったのですが、普段はガラガラなのに、レジが混雑していてビックリ。マクロは業務用スーパーなので、それらしき買い物客がいつも多いのですが、なんかちょっと様子が違いました。「明日からソンクランだから、帰省してきた家族用に買い物に来ているヒトも多いのかなぁ」と。
で、思い出しました。アタシが旅行者として水かけ祭りに参加した日の朝のこと。朝ごはんを食べに出かけたところ、どこもかしこもクルーズ。困ったなぁと思いうろちょろしていたら、なんだかタイ人で十数人で賑わっている場所を発見。おいしそうなぶっかけごはんを食べています。タイ語が話せなかったアタシたちは、ジェスチャーで「食べてもいい?」と聞くと、一瞬けげんそうな顔をされたけれども「マイペンライ」という返事が。辛くないものを尋ね、ごはんとおかずをよそい、満腹になったところでお会計をお願いしたら「いらない」と。アタシたちは「???」食堂だと思ってズカズカと入っていったところは食堂ではなくただの金物屋さんで、その日店をクローズして大勢の家族でソンクランの朝ごはんを食べていただけなのです。どんだけお金を渡そうとしても「マイペンライ」と。え~い!ありがたくごちそうになりました。
話は戻って今年2021年。意外な場所の混雑ぶりにびっくりしたのは、朝ごはんがメインの点心とジョークの食堂でした。ほぼ毎朝ジョークを食べに行くアタシは、すっかり店の若きタイ人オーナーや定員さんと仲良くなり、黙っていても、ジョークムーカイ(豚ミンチと温泉卵入りお粥)が出てくるようになったのですが、いやはやビックリ。いつもはそうでもないと言ったら失礼ですが、その店内がソンクラン期間中、満席。ほぼ100名近く入る、広い店内がお客さんでいっぱいなのです。表で待つお客さんもいるほど。4月の10~15日の間に3日ほど行ったのですがいずれも満席でした。いつもは厨房にいるヒトまで、額に汗をかきながらホールで働いていました。
なぜか、クラビの朝ごはんは点心とジョークがメインです。13時までオープンと記されていますが、10時くらいにはジョークが売り切れてしまいます。以前、バンコクから遊びに来た日本人友人が「バンコクには昼も夜も点心やジョークが食べられる店があるのに、なぜ、クラビは朝だけなんだろう」と聞かれたことがあり、若きタイ人オーナーに聞いてみたことがあります。彼いわく「点心を蒸すのに時間がかかります。バンコクはビジネスマンがほとんどで、彼らは忙しすぎるから、点心を蒸す時間を待つことができないのですが、クラビにいるヒトたちはみんな涼しい朝にゆっくり食事をする習慣があるのです」と。
アタシの推測ですが、クラビは田舎なので、ソンクラン期間中、帰省してくるタイ人が多いのでしょう。朝ごはんを家族でゆっくりと食べる習慣のあるクラビでは、家ではもちろん、優雅に点心を味わおう、というファミリーが多いのではないのでしょうか。これは、日本でいうところの、1月1日には集まった家族や親族でおせち、年末やお正月過ぎは、お家ばかりでたいへんだからみんなで外食、という感覚ではないのでしょうか。それが、朝食というのがタイっぽい。だって、朝の8時半には超満席なのだから。
4.異例のソンクラン。 町は静まりかえり、お寺では粛々と仏像に水かけ
表での水かけ禁止が出されたので、どうなっているのだろうと町の様子を見に出かけました。朝夕の通勤時間には混雑する幹線道路はガラガラ。けれども、ところどころ警察がいるポイントがあり、それは見張っているというものではなく、緊急時に備えているという雰囲気を醸し出していました。反対にピピ島への定期便が出る付近はクルマがいっぱい。
ソンクラン前には混雑していたスーパーもいつも通り、というか、むしろ普段より静かで、店員さんのアロハシャツが妙に目立っていました。聞いたところによると、アロハシャツのようなカラフルで花柄のシャツというのは、ノリの良さを醸し出している、いわばソンクランのユニフォームのようなものらしいですね。
小学生の子どもがいるバンコクの友人宅では、子ども数人が集まり自宅の敷地内でこじんまりと水鉄砲で遊んだようです。そう、公道での水かけは禁止されましたが、敷地内ではOK。こじんまりと和気あいあいと水のかけあいをする。これはルール規範内だし、子どもたちは遊びたいし、双方の希望が叶えられ、見ていて微笑ましく感じました。
お寺はどうなっているのかも気になり出かけてみました。初めて体験したのですが、お寺内に設置されている仏像に水をかける体験ができました。近くのよく行くお寺に行ってみたのですが、いつも通りあまりヒトはおらず。観光用のクルマが数台止まっていたので、タイ人観光客も若干いたようです。観光客らしき彼らについていくと、仏像に水をかけて拝んでいる、その伝統的な作法を初めて目にすることができました。「コレが本物の水かけなんだ!」と、ちょっと感動すらしてしまいました。
5.結果的に貴重なソンクランを体験できました
もしも今年コロナ禍ではなく、いつものそんクラン=水かけまつりが行なわれていたら、しようとすら思わなかってであろう、お寺での仏像への水かけを体験できたことが、とても印象に残りました。初めての体験でしたが、見よう見まねで仏像に水をかけて、手をあわせてみたらあら不思議。なんだか、とても清らかな気持ちになることができました。けれどもできることなら、来年はあの激しい水かけ、久しぶりにやってみたいかなぁ。
タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿でした。