タイ石油公社「PTT」 は国内最大企業。 躍進と買収が止まらない
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タイの石油自給率は約50%。そのほとんどがタイ湾周辺で採掘され、残りはミャンマーなどからパイプラインを通じて輸入しています。 天然ガスの約70%を発電のために消費。この仕事を担っている会社が「PTT」。現在、タイ国内で最大企業といわれています。
タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿
วันที่ 10 เดือนธันวา เป็นวันรัฐธรรมนูญของไทย
ワンティー 10 ドゥアン タンワー ぺン ワン ラッタタッマヌーン コーン タイ
12月10日はタイの憲法記念日です。
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1.タイの化学産業を担う「PTT」の実績と歴史。複数の日本企業との接点も
「PTT」の正式名称は「 PTT Public Company Limited」で1978年に設立されました。天然ガスや石油の採掘から精製、製造、販売まで担うエネルギー関連会社で、 現在では約300社の子会社を持ち、世界33カ国で事業展開。売上規模でいえば、世界で81番目といわれています。ASEAN10カ国の企業で世界500番以内に入るのは、「PTT」とマレーシアの石油会社のみで、その規模の大きさがうかがえます。売上高は約10兆円、純利益は約3300億円<2014年の実績>。毎年約800億円もの投資を行なっています。
規模は小さいもののタイ全土で展開している「アマゾンコーヒー」も「PTT」の経営。国道沿いにあるガソリンスタンド「PTTステーション」にあるコンビニも経営しています。「PTT」にとって「アマゾンコーヒー」やコンビニは、事業規模としては小さいものではありますが、エネルギービジネスとは違った面白さがあると語っており、利益率も高く、ある年には7000万杯以上のコーヒーを売り上げたとか。現在、ラオスやカンボジアにもコンビニやコーヒーショップを併設したガソリンスタンドを展開しています。
「PTT」の歴史をたどってみると、タイ政府工業省直轄でタイ石油公団として設立された後2001年に上場。一部民営化されました。ただ、現在も大半の株式をタイ政府が保有するため、いわゆる半官半民企業にあたります。1978年創立時に関わりが深かったのが三井石油。三井物産系列の石油会社です。 当時、米国Union Oil(現在のChevron) と共同で発見されたのがエラワンの天然油田。ところが、当時の埋蔵量では、海上から陸上までパイプラインを敷いても経済的に成り立たないことが判明します。この時、タイ政府が英断し資金調達を決行。油田の開発、生産、当時世界最長の海底パイプラインの生産を開始しました。生産量の圧倒的不測などさまざまなアクシデントに見舞われながらも、さらに新しい天然ガス油田を開発にも。そして、当時から現在にいたるまで40年以上にわたり「PTT」と関わっている日本企業は、三井石油だけであり、両企業それぞれにとっての信頼度の高さがうかがえます。
近年、大阪ガスとの関係も近くなってきました。2015年には共同出資による燃料転換エネルギーサービス会社を設立。これまでも協力しあってきた両企業が、いつの日かやってくる天然油田の枯渇を見据え、トウモロコシ、サトウキビ、木材などのバイオマス燃料などを含む代替エネルギーの将来も鑑みつつ、共に協力しあい、タイ国内での販売を最優先させながら日本、そして世界へにも着目しているようです。 このように、タイ最大手企業「PTT」と日本の企業が手を携え、次世代のエネルギーについて協力しあうというニュースを目の当たりにすると、タイに暮らす日本人のひとりとして、誇りに思え、感慨深いものがあります。
2.「PTT」が他化学産業企業の買収を行なう理由
実は、エラワン油田は現在、一時的にストップされています。 しかし、「PTT」が天然ガスの代わりにLPGと原油を輸入するなど、さまざまな原材料を受け入れられるように生産プロセスをあらかじめ刷新していたため、製油所と石油化学製品の生産ラインに悪影響を与えることはなかったようです。ストップしてしまった理由については探しきることができませんが、なぜなのか、アタシなりに推測してみました。
「PTT」が1970年代に開発した油田関連事業。日本をはじめ諸外国関連企業と行なった契約のほとんどが、この2021年から2022年にかけて更新される予定となっています。約70%のシェアがあるエラワン油田も同じくであります。あらゆる国の企業がこの技術分野において、狙いを定めているようで、「PTT」をはじめタイ政府はそれも同じ。ここは契約更新期間にとらわれず、何がベストなのか、探っているのではないでしょうか。
そう推測するひとつの理由が、「PTT」がこの時期に買収を行ない、新たな技術の開発を次々と進めている点です。買収先として発表されているのが、高性能ポリマーなどの高付加価値(HVA)製品を専門とする石油化学メーカー。ポリマーとはいうのは、 自動車、ジェット機、電子機器などの建築材料として使われる軽くて強い材料のこと。このポリマーを専門に扱う会社をグループに取り入れることで、プラントの生産能力アップが見込まれます。また、30億円相当の資本ベンチャーファンドを投資し、先端材料とクリーンテクノロジーを含むビジネスを開発しているとの発表も。
2015年、当時のCEOパイリン・チューチョートターヴォーン氏は当時のインタビューでこう答えています。「あくまでも個人的な意見ですが、タイ湾の天然ガスもいずれは枯渇するでしょう。そこで最近では、液化天然ガス(LNG)の受け入れ体制の整備を進め、将来の輸入拡大に備えるほか、バイオマス(生物資源)エネルギーの利用率を高めるなど、代替エネルギーの導入を推し進めています。 タイにおける理想的なエネルギー割合の比率は、ガス(バイオ、天然含む)が50~60%、残りは水力・石炭発電、その他で賄うのがバランスのよい割合だと思っています」
パイリン氏はチュラロンコーン大学工学科を卒業後、東京工業大学大学院で修士号と博士号取得した頭脳派。また、「第12回アジア・ビジネス・リーダーズ・アワード(ABLA)」など、その経営能力がかわれ、アジアの経営者トップに贈られるさまざまな賞を受賞するなど、業界ではかなりのキレ者として有名な人物です。インタビューから数年たっていますが、彼の個人的な意見として述べている見解が、今、その実現に向けて進められている最中なのではないでしょうか。
3.「PTT」がマレーシア沖に新たな油田を発見
「PTT」マレーシアのサラワク州の沖合で石油を発見したことを発表しました。タイ国周辺海域だけでなく、マレーシア沖にまで進出し、発掘調査を行なっていたのですね。さすが、世界で屈指の企業だけのことはあります。これは、長期的に捉えているようで、天然油田のさらなる開発と埋蔵量を増やすことが目的なのは一目瞭然です。 すでに、掘削を始めており、また、2022年以降に、マレーシアとタイの共同で、この近隣地域の開発を行なうことも発表しています。
【マレーシア・サラワク沖】
4.「PTT」躍進の理由のひとつ。女性トップ幹部の活躍
「PTTグループ」のうち、7つの中核事業を監督する「 TT Oil and Retail Business Plc(通称OR)」の社長兼最高経営責任者であるジラフォン・カウスワット氏。彼女は「PTT」から任された、 会社の新規株式公開(IPO)における大きなトラブルを解決し、強力なリーダーシップ発揮し、その名が世に知れ渡りました。
「私は「PTT」の主要企業を監督する最初の女性であるだけでなく、エンジニアではない最初の最高経営責任者でもあります。 自分の能力を最大限に発揮する機会を与えてくれた経営幹部や同僚たちと一緒に仕事をすることができてラッキーです」と、バンコクポストのインタビューで答えています。
男性優位のタイ社会。創設40年以上たちますが、今までの「PTT」女性社員の最高地位が財務責任者だったことから、いかにジラフォン氏が優秀だったかということがわかります。彼女はカセサート大学で会計学の学士号を取得した後、「PTT」に入社。現在の最高経営責任者の役職につくまでで、約30年間石油小売業に従事していました。つまり、現在の役職につき、IPOでその手腕を披露することで、もともと備わった能力を発揮したのだといえるのでしょう。
「 今後の目標は?」とインタビューで問われ「より多くの非石油製品、たとえば、コンビニエンスストアでの買い物、飲食物や自動車の販売関連など、人々のライフスタイルがより良くなるようなサービスを提供したい」そのひとつとして、 彼女のテリトリーである、カフェアマゾンをオマーンや中国、日本、東南アジアなど11か国、5,300店舗展開する予定だとか。さらに、教育関連事業、地方特産品の製造販売、コミュニティーにおけるエネルギー開発など社会的に貢献するプロジェクトも進めているそうです。
インタビューの中で最も印象的だった言葉は「小売業は可能性に溢れている」でした。「私は困難に直面したとき、これらをドラマのシナリオとみなして、いかに対処することがベストでドラマティックなのか、と解決方法を見つけるようにしています。『PTTグループ』ではバックグラウンドがどうであれ、その才能をいかんなく発揮すれば、ステップアップすることができます。私がその証明です」というカッコいい言葉が羅列されていました。
5.「PTT」の野望とは
昨今、パワフルに躍進し続ける優良企業がよく使う言葉、それがサステナブル、持続可能です。特に、石油など天然資源を活用している分野では、よくこの言葉が使われています。豊富、とまでは言えませんが、日本よりもずっと天然資源に恵まれているタイ。けれども、資源はいつまでも続きません。サステナブルを実現し、このご時世に躍進する企業とは、あきらめず、あせらず、今にとらわれすぎず、スタッフを信じて時には大抜擢したり、可能性をあらゆる方向からたぐりよせて、行動に移す。「PTT」の可能性はまだまだ進化の可能性を秘めているように感じました。
タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿でした。
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