「ビアチャン」や「ゲートウェイ・エカマイ」を持つ、 タイ三大財閥のひとつ「TCCグループ」の実像
サワディーカー!LABタイ語学校です。
タイ国民から今もなお慕われ続けている、プミポン国王から姓を拝命し、一族全員が姓を変更したという逸話を持つ、 ジャルーン・シリワタナパクディー氏率いる「TCCグループ」。 11人兄弟の次男である氏は、財閥を受け継いだのかと思いきや、「TCCグループ」を自らのチカラで築き上げたヒト。父上は屋台でホイトート(カキのお好み焼き)を売っていたとか。その歴史もさることながら、幅広く手がける事業内容も気になるところです。
タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿
1.「TCCグループ」の歴史と買収劇について
「TCCグループ」の創業者であり、現在もグループの指揮をとるジャルーン・シリワタナパクディー氏は1944年生まれ。父親は中国の出身でホイトート(カキのお好み焼き)の屋台を開いていました。詳しい記載は残されていないので、ジャルーン少年の詳細はわからないのですが、多くの兄弟がいたため、父親の方針としては、勉強ができる、勉強好きな子にしか、学業を優先させなかったそうです。
シリワタナパクディー氏は1960年代初頭「メコン・ウイスキー」の販売代理店会社に入社。1973年、政権の混乱により会社上層部が失速し、社内残留組の3人と「TCCグループ」を立ち上げました。バンコクなどの都市部でウイスキーの安売り合戦が展開されるのに乗じて販売の促進に成功。
1988年、それまでのさまざまな業績を評価され、プミポン国王から「シリワタナパクディー」の姓を賜り、そして彼の一族すべてが改名したといいます。1995年「ビアチャン」を市場に出し、大成功。現在「ビアシンハー」を抜き、その売り上げは「ビアレオ」と人気を二分するほどまでに成長しました。
2000年頃から不動産投資を加速化。NYやシンガポールなどでもホテルを経営。2012年「ゲートウェイ・エカマイ」の開発、開業、運営へ乗り出し、2016年における「ビッグC」の買収は記憶に新しいところです。
2.アルコール製造販売から不動産業まで「TCCグループ」のすごさ
現在、「TCCグループ」は、
・食品・飲料事業(ビアチャン、メコンウイスキーの製造販売など)
・産業ビジネス事業(流通やマーケティング、国際提携ビジネスなど)
・保険・金融事業(生命保険、損害保険、自動車保険など
・不動産事業(「ゲートウェイ・エカマイ」などのショッピングモール、ホテル、オフィスビルなどの開発運営)
・農業産業事業(ゴム、パイナップル、コーヒー、サトウキビなどの研究開発・生産)
を手がけており、その総事業規模はタイ全土で3本の指に入る5,000億バーツ程度といわれています。
食品・飲料事業のなかで、特筆なのは、スピリッツ=ウイスキーに関すること。ブレンドの核になる部分をより良いものにするために、スコッチウイスキーの本場、スコットランドの酒メーカーと提携。さらに中国・雲南省の酒メーカーとのネットワークも模索し、活用し、世界80カ国以上の国で、「TCCグループ」のつくるウイスキーが販売しています。
産業・貿易事業というのは、いわゆる流通部門。外国から各種医薬品のパッケージの受託製造を行ない、これに付随して独自の流通網とマーケティングを開発。今では、国際間の海外進出伴うマーケティングやサポートも行なっています。
また、1946年にタイで初めて生命保険会社を設立したのが「TCCグループ」なのだとか。当時のラーマ7世の女王が、最初の生命保険契約者だとサイトに記されていました。この時代から王室のつながりを持っていたため、後にプミポン国王から姓が授与されるという栄誉が与えられたのでしょうか。それにしても、生命保険という新しい分野へ目をつけるところが、なかなかの敏腕の証明ですよね。
不動産部門において代表されるのが、やはり「ゲートウェイ・エカマイ」の開発、運営や「ビッグC」の買収、運営でしょう。実は「TCCグループ」は、タイにおいて新たなショッピングモールなどを手がけるパイオニア的な存在。昨年、コロナ禍の困難に立ち向かう取り組みをしたとして表彰を受賞しているのが、この不動産部門なのです。
3.「TCCグループ」がタイ航空を買収!?
昨年、タイ国際航空が会社更生法の手続きに入ったということで、国営の手を離れて民営化されるために、さまざまな手続きが進行中。現在裁判所管理の元、タイ国際航空は運営されています。このタイ航空の買収にイチ早く名乗り出たのが、「TCCグループ」といわれています。
このほか、飲料会社大手「タイ・ビバレッジ」も手を挙げているようですが、「TCCグループ」とは、ちょっとケタが違うような。昨年「TCCグループ」がタイ航空買収に名乗りを挙げたと聞いて、もうすでにその手続きは終了しているのかと思いきや、そんなにカンタンにはいかないようですね。なんと、 この整理、再建が完了するのは7年ほどかかるそう。なので、決着は早くても2027年頃なのかしら。その頃には、コロナ前と変わりなく、日本とタイを行き来できていればいいのですが。
4.一代で財閥を築き上げた「TCCグループ」の今後
タイにおけるいくつかの財閥のうち、そのほとんどは何世代か前から受け継いだもの。そしてそのほとんどが、中国からやってきたタイ・チャイニーズです。意外だったのは、現在、77歳であろう「TCCグループ」の創始者ジャルーン・シリワタナパクディー氏は、一代でその地位を築いたことです。どこかの紹介で、新興財閥、という表現がされていましたが、先代からのなんのコネもなくここまでになるには、並大抵ではない努力と繋がりと運命が交錯していたのだろうなぁ、と妄想してしまいます。アタシたちもアタシたちなりに、困難な時代ながら出来ることをやっていこう!と考えるきっかけになったストーリーでした。
タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿でした。
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