日本の超人気スニーカーブランド「オニツカタイガー」とタイの「ドイトン」がコラボ
サワディーカー!LABタイ語学校です。
5月末に販売発表された人気スニーカーブランド「オニツカタイガー」とタイ王室ゆかりの「ドイトン」によるコラボスニーカー。13,000円程度とやさしい価格設定。「オニツカタイガー」は元々タイ人の人気が高く、その火付け役は国王だったという話もご紹介。
タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿
1.「オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)」ってどんなブランド?
「オニツカタイガー」の正体は、実は元「アシックス」。1949年に鬼塚喜八郎氏が創業したスポーツスニーカーブランドの名前はそもそも「オニツカタイガー」でした。「スポーツには人生を変える力がある」という理念のもと発展し、オリンピック日本代表選手ののスニーカー手がけるほどの規模となりました。が、じょじょに業績が悪化し、1977年、他社と経営統合。現在の「アシックス」に改名しました。
ところがその後、ヨーロッパでスニーカーをファッションとしてとらえる風潮、レトロ感覚のデザインが流行。「アシックス」のヨーロッパ現地法人が、このブームに目をつけて2002年に「オニツカタイガーブランド」を復活させます。さらには翌年2003年、アメリカ映画「キル・ビル」で、着用されたことから大注目。ファッションセンスのあるブランドとして認知されていき、現在の地位を獲得することになりました。
「アシックス」のいちブランドである「オニツカタイガー」のスニーカーは、過去に発表された人気モデルを現代風に復刻したレトロデザイン、現代の新しい解釈を取り入れて機能性を充実させたオリジナルモデルが主流です。「オニツカタイガー」という奇抜でセンスあるブランド名とその高いブランドイメージ、スニーカー史上に名を残す数々の傑作などがあいまって、クラシカルでいながらモダン、お洒落なスニーカーとして、人気が再燃。「キル・ビル」の影響もあり、日本よりも欧米のほうが人気が高いといわれています。日本人はどうしても体育館シューズをイメージしてしまうのかもしれませんね。
「オニツカタイガー」には数々の逸話があるのですが、ひとつだけ。「ナイキ」は元々ブランドではなかったようで、「オニツカタイガー」のスニーカーをアメリカに輸入販売して、爆発的ブームを生み出したのだとか。そのスニーカーの名が「タイガー・コルテッツ(現在のコルセア)」。「オニツカタイガー」に触発されて、「ナイキ」がその後オリジナルブランドを開発するようになっていったようです。単なるお洒落なスニーカーとしてではなく、機能性、話題性もあるこだわりのあるヒトたちを刺激する傑作スニーカーの数々を生み出したことが、「オニツカタイガー」の魅力のひとつだといっても過言ではないでしょう。
2.「オニツカタイガー」が、タイで人気な理由は、前プミポン国王!?
今から5~6年前、ビザが緩和されて多くのタイ人観光客が、日本へと観光に出かけました。その頃、日本土産として大人気だったのがあるお店のメロンパンと「オニツカタイガー」のスニーカーだったとか。メロンパンは当時のタイの日本紹介テレビ番組で火が点いたそうですが、「オニツカタイガー」は、前プミポン国王がきっかけだったそうです。
というのも、若かりし頃のプミポン国王(ラーマ9世)の写真が当時大々的にSNSで拡散され、この時履いていたスニーカーが「オニツカタイガー」だと判明。スニーカーに興味のあるタイ人だけではなく、多くの一般人まで一気に普及していきました。ご存知の通り、プミポン国王の人気はタイ人には絶大で、当時はまだご存命だったこともあり、タイ人に急速に人気が広がっていきました。
当時、東京にある「オニツカタイガー 表参道店」には、多くのタイ人が殺到。 なかには「ここに来るために日本に来た」というタイ人もいたのだとか。また、お土産にも大人気で、日本人がタイ人に「何がお土産に欲しい?」と聞いた時「オニツカタイガーを買ってきて!」と答えたという話を聞いたことがあります。タイでも「オニツカタイガー」は販売されていますが、フェイクが多く出回っていることや、日本より30%ほどタイの方が価格が高いため日本からのお土産として、人気となりました。
3.タイ王室主導のサステナブル事業「ドイトン」ってなに?
タイ王国の非営利組織「メーファールアン財団」の主要プロジェクトである「 ドイトン (Doi Tung)」。人々の暮らしの向上に加え、タイの自然や文化の保存を考えることを目的に、1988年に作られたタイの王族主導により設立されました。「ドイトン」は地名で、ゴールデントライアングルの中心に位置します。
そしてこの地域は、ご存知の通り、世界有数の違法薬物の生産と密売の中心地でもありました。当時、このあたりは森林が破壊されており、やせ細った山や土地しか露出した山々しかありませんでした。この地域のほとんどの人たちは国籍もなく、基本的な公共設備が整っておらず、極度の貧困の中で生活。もちろん子どもたちはろくに教育も受けることができていなかったとか。
さらに、武装兵士が多くいたため、村人は生計の選択肢がなく、自分たちの生存のために森林伐採、ケシの栽培、麻薬や人身売買に頼らざるを得ない状況でした。この状況を重く捉えたタイは、シーナカリン皇太后(前プミポン国王の母)を中心に、健康、生活、教育をカバーする対策に着手。「人間と森の相互的かつ持続可能な共存(サステナブル)」をテーマに掲げ、「土地を耕し、人を耕す」という王室のコンセプトをプラスして、生まれた事業です。
「ドイトン」は、「食品加工」「手工芸」「コーヒー」「観光」「農業」の5つのビジネスユニットを通じて、人々の幸福を改善し、ライフスキルのトレーニングを提供し、コミュニティのすべてのメンバーに安定した収入をもたらすことを目指しています。サステナブルの声を多く聞く昨今ですが、1980年代から活動を行なっていたということは、言い方を変えれば時代の先端をいっていたのかもしれませんね。ドイトンコーヒーは有名なので、てっきりコーヒーブランドだと思っていたのですが。
4.日本の「オニツカタイガー」とタイの「ドイトン」コラボのきっかけ。そしてスニーカー紹介
きっかけは「ドイトン」から「オニツカタイガー」へのラブコールだったようです。タイ人の「オニツカタイガー」ブームの火付け役となった前プミポン国王のことがアイデアの素だったのでしょうか。チャレンジ精神とセンスがあるなぁと感じました。販売開始は今年2021年の5月ですが、2019年から約1年半かけて、タイのテキスタイルデザイナーと日本の生産チームにより共同で企画、開発したと「オニツカタイガー」のサイトで紹介されています。コロナ渦もオンラインでプロジェクトを進行していったそうです。
展開している商品は、「MEXICO 66」「MEXICO 66 PARATY」「SERRANO」の3モデル。「ドイトン」の「手工芸」部門が現地で糸を紡ぎ繊細に織り上げた手織りファブリックをメインに使用しています。糸を紡いでから柄が出てくるまで約1週間を要するとか。機械織りとは異なり、質感はやわらかく、柄も繊細。「履くことにより、タイの文化と自然、そして日本との友好をリプレゼンテーションする。現代のファッションにおけるクールを再定義するような、ストーリーあるスニーカー」と「オニツカタイガー」サイドは、熱く語っています。
5.日本とタイのコラボスニーカー、手に入れるには?
タイ限定モデルのコラボスニーカーは、写真の2点。なかなかカッコいいスニーカーだと思いませんか。ただ「ドイトン」サイトをはじめ、いろいろ探してみたのですがどのサイトで、どこの実店舗で販売されているのかを確認することができませんでした。日本では、実店舗では「オニツカタイガー表参道店」「オニツカタイガー大阪心斎橋店」「オニツカタイガー神戸店」で販売。サイトを確認したところ、まだ販売されていました。気になる方は確認してみてください。
【オニツカタイガー×ドイトン通販サイト】
https://www.onitsukatigermagazine.com/store/
タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿でした。