再燃!?タイ人にも大人気!日本の町中華が懐かしくなったら「8番らーめん」
サワディーカー!LABタイ語学校です。
タイのショッピングモールなどに必ず入っている「8番ラーメン」。日本に本店のあるラーメン店で、今、タイ人にも大人気。改めて見直されているのをご存知でしょうか。
タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿
1. 「8番らーめん」のルーツ
今回、調べてみて分かったのですが「8番らーめん」は、石川県に本社のある株式会社ハチバンが運営しているラーメン店なのですね。バンコクだけでなくタイ全土で展開されているため、てっきりタイ人経営者だと思っていました。となると、数ある日本の飲食産業がタイへ進出していますが、いちばん歴史が古く、成功している事例だと言えるのではないでしょうか。
「8番らーめん」1967年、石川県加賀市で個人のラーメン店として開業。その場所が国道8号線に面していたことが店名の由来で、現在北陸を中心に日本国内118店舗、海外約150店舗を展開。石川県民には「石川のソウルフード」とまで、言われているとか。日本の「8番らーめん」の特徴として「8」の文字のカマボコ、通称(そんなものがあるのね!)「ハチカマ」がどのラーメンにもトッピングされています。これはタイも同じですよね。日本での定番メニューは、炒めた野菜、チャーシュー、メンマ、ハチカマを載せた「野菜ラーメン」。スープは味噌、塩、醤油、バター風味の4種類から選べるそうです。
タイ人が好きな豚骨は、日本では2021年に販売を終了となったようですが、タイでは今でも豚骨味、ではなく、パイタン(鶏を煮込んで白濁させたスープ)が主流で、そのほかに、醤油や味噌などがあります。勝手に推測するに、タイに一定数いるムスリムに配慮して、豚骨ではなくパイタンで、という配慮をしているのではないのかなぁと思います。
タイ・バンコクに第1号店を出店したのが、1992年。もう30年以上も前なのですね。これを皮切りに、1995年中国の北京、2003年香港とマレーシア、2004年台湾の台北、2005年中国の上海、そして、2019年にはベトナムのホーチミンに出店(現在、中国、マレーシア、台湾は撤退。タイ・香港・ベトナムのみで展開)。タイ国内では現在約150店舗とダントツで多く、タイのどの街、クラビのような田舎でも見かけることができるのは、納得です。
2.なぜ、「8番らーめん」がタイに上陸したのか!?
なぜ、石川県というローカルで展開していた「8番らーめん」が、タイでこれほどまでに店舗を増やすようになったのか。調べるうちに、なるほど、という出来事がきっかけだったということがわかりました。「8番らーめん」のサイトではこの表記がなされていなかったので、真偽のほどは定かではありません。が、かなり信ぴょう性のある理由がわかりました。
タイでも屈指のとある繊維メーカーの社長が、たまたま日本の福井県に訪れた際のこと。「8番らーめん」を食べて感動し、この味をタイでも広めたいと思ったことがきっかけだったそうです。日本で食べたことはありませんが、この味は日本の町中華の味そのもので、タイに暮らす日本人にとってはとても懐かしいものがあります。コロナ禍で多くの飲食業を営む日本人が閉店してしまい、帰国してしまった中で、とてもありがたい存在ですらあります。もっとぶっちゃけると、今実は、タイでかすかに日本食ブームがきてい流のですが、その味より断然美味しいです。
というのも、多くの日本人飲食店経営者が帰国してしまった中、タイ人がYou Tubeを見ただけで日本食を模して、安易に日本食レストランを作ってしまっている影響があります。ぶっちゃけとんでもないものに出会うことがあります。味はもちろんですが、日本人としてこれを日本食としてタイ人に認識して欲しくないなあということも。だけどだけど、お店の外観や雰囲気はとてもよく、その日本料理レストランには多くのタイ人で溢れかえっています。それが、日本人としてはとても残念なのです。
もちろん、とても優秀な日本食レストランに出会うことはあります。それは、タイ人、日本人経営者であれ、関係なくとても繁盛しています。ただ、高い。。。単純に、日本でのいわゆる町の食堂であったり、街の中華屋さんというのが、ないのが残念なのです。気軽に、安価で食べられる日本食レストランでもちょーっと何かが違うのです。
3.タイ人に絶賛されている理由
ここクラビにも日本食レストランが、数軒ですがあります。ただ、やはり高く、気軽に食べに行きたい!と思うとやはり「8番らーめん」を選んでしまいます。嬉しかったのは、あるタイ人が経営するタイ料理店のオーナーと食事についていろいろ語り合っていた時「8番らーめん」って美味しいよね、という話になりました。「タイ人の舌にも合うの?」と尋ねると「もちろん!!」と。
株式会社ハチバン本社担当者によると、タイの「8番らーめん」の1番人気は「トムヤムチャーシュー麺」なのだとか。2番人気は「ざるらーめん」。「ざるらーめん」は、薬味は刻みネギ、大根おろし、ワサビだけ。けれども、冷えた麺を和風だしにつけて食べるとツルッとした喉ごしで、暑さでバテ気味の体が生き返るのだという感想が多いとか。同じ理由で人気なのが「冷麺」。アタシのタイ人の友人もこれがナンバーワンだと言います。中華麺の上にキュウリ、ゆで卵、ハム、チャーシュー、紅しょうが、ハチカマ、そしてマヨネーズをトッピング。程よく酸味の効いたタレがさっぱりとしていて食欲をそそります。その友人いわく「タイでは冷たい麺料理がないから、初めて冷麺を食べたときはおいしくて感動した!」と。
このほかに、餃子や唐揚げ、ポテトなどサイドメニューも充実。ハチカマだけの単品メニューもあります。株式会社ハチバンによると「タイ独特の食文化である『数種類の料理を少しづつ楽しみたい』というニーズに対応するため、日本よりサイドメニューを充実させたのだとか。一番人気は餃子で、次に唐揚げ、たこ焼きと続きます」。焼きそば(100バーツ)もタイ限定メニューです。
4.タイ人の好みに寄り添った結果
「8番らーめん」は30年前のタイ進出以来、日本の店舗と同様に、大衆が日常利用しやすい店づくりを目指して試行錯誤を重ねてきたのだそう。タイ人の嗜好や慣習に寄り添い、ニーズに応え、庶民的な価格で日本の味とサービスに真摯に向き合い、安定的した味を提供し続けてきたのでしょう。
その結果、今ではマクドナルドやケンタッキーに匹敵するほどの新たな食文化を確立し、かつては石川県のソウルフードだったものをタイ人にとっての日本食ソウルフードとして、確立するまでになりました。今後も、タイで更なる出店を目指してい流用で、今年はもう一つのセントラルキッチンの竣工予定だとか。これからもタイ人だけでなく、タイで暮らす日本人の胃袋をほっこりさせてもらいたいものです。
タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿でした。