タイの電力事情は変わるのか!?タイ国営電力公社が、6月から世界最大級のフローティングソーラーシステムの運営開始
サワディーカー!LABタイ語学校です。
最も暑いシーズンへと突入しているここタイ。この時期多くなってくるのが停電です。あらかじめ予告の上、数時間から長ければ6時間ほど停電が行なわれる場合もあれば、突然、昼夜問わず、電気がストップする場合もあります。それは、長くても小一時間なのですが、日中はとんでもない暑さの中で過ごさなければならなかったり、夜間、真っ暗闇で過ごさなければならなかったりして「ああ、日本は何て便利な国なのだろう」と改めて感じることもしばしばです。で、この水上ソーラーシステム開始のニュース。果たして、タイにおける電力事情革命(個人的には停電がなくなってほしいだけですが)を起こすシステムとなるのでしょうか。
タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿
ฤดูฝนที่เมืองไทยเริ่มตั้งแต่เดือนมิถุนา
ルドゥー フォン ティー ムアンタイ ルーム タンテェー ドゥアン ミトゥナー
タイの雨期は6月から始まります。
<季節>に関するタイ語音声とタイ語記事はコチラ
1.タイ国内発電を担う、タイ国営電力会社の現状とは
タイの電力会社は、タイ政府エネルギー省の傘下にある国営の電力会社で、通称EGATと呼ばれています。現在タイの発電は、主に火力発電と水力発電で行なわれています。2011年の東北大震災の際には、タイから日本へ電力が無償による借与が行なわれていたのですね。今回、タイの電力事情を調べてみて初めて知りました。
1969年の設立当時は火力・水力発電のみでしたが、 タイ国土の特色を活かし、独自の研究、独自のシステムを開発し、現在では、太陽光発電所を含む再生可能エネルギー発電もすでに行なわれおり、既存の配電システムに接続され運用しているところもあります。
【火力発電所】
南バンコク、クラビ、チェンマイなどに10カ所。
【水力発電所】
チャイナット州(アユタヤとスコータイのちょうど中間地点)などに9カ所。
太陽光発電所は、チェンマイやサケオ(バンコクの東部)など4カ所。
風力発電と太陽光発電を組み合わせた再生可能エネルギー発電所は、プーケットのプロムテップ岬に1カ所のみ。
タイ国土のほぼ北から南まで、発電所の拠点があることが分かります。
2.タイの電力開発システムは、実は、再生可能エネルギー分野で、世界の最先端!?
本題に入る前に「再生可能エネルギー」の意味がよくわからなかったので調べてみました。関西電力のサイトの説明が一番わかりやすかったので引用します。「 再生可能エネルギー(Renewable Energy)とは、石油や石炭、天然ガスといった有限な資源である化石エネルギーとは違い、太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーのことです。その大きな特徴は、『枯渇しない』『どこにでも存在する』『 CO2を排出しない(増加させない)』の3点」
ところがです。太陽光エネルギーシステムを構築する際、たくさんのソーラーパネルを設置しなければなりません。そのためには森林を伐採してスペースを確保する必要が時にはあるため、自然を活かして創り出すエネルギーのために自然界をくずしてしまうという矛盾が起きてしまいます。
タイ国営電力会社(EGAT)は、この「再生可能エネルギー」の開発にとても力を入れていることがうかがえます。 水源に恵まれている国として、もともと行なっていた水力発電と太陽に恵まれた国として、独自に開発・運用してきた太陽光発電のノウハウをプラスし、水上で行なう太陽光発電、すなわちフローティングソーラーシステムの本格的な運用を目指したものだと思われます。
3.ウボンラチャタニ・シリントーンダムのフローティングソーラーシステムは、世界最大級!?
世界最大級、とうたっているのは、その面積と発電規模のこと。水上に450ライ(72万平方メートル!)、最大出力45メガワット(1メガワット=1000キロワット。ちなみに日本の住宅で太陽光発電を設置した場合の平均最大出力3.5キロワット!)と、調べてみると、その数字は驚異的なもので「フローティングソーラーファーム」すなわち、水のファームと名付けているのもうなずけます。
陸上にソーラーパネルを設置するより、水中のほうが温度が低くなるため、ソーラーパネルの効率が向上するというのも利点で、その発電効率は陸上の約110%。本来であれば、2020年12月の着手予定でしたが、コロナの影響で半年延期。ただし、80%程度の行程はすでに済み、準備は整っているとのことで、すべての貯水池に自然歩道を建設し、新しい観光名所へと発展させようという企みももっているあたり、さすが、タイ!と言えるでしょう。
もうひとつの世界最大としてタイ国営電力会社(EGAT)側が伝えているのが、このシステムが、フローティングソーラーハイブリッドだということ。これは、水力発電と太陽光発電を組み合わせて、季節に応じて電力の生成ができるというもの。つまり、今のような雨の少ない水の量が限られている場合は、日中は太陽光から電力を生成し、夜間は水力を活かして発電。反対に、雨期など十分な水量を確保できる場合は、できるだけダムの水を活かして電力を生成するという、世界最大級の「ハイブリッド再生可能エネルギー活用」を行なおうという一大プロジェクトなのです。
設置する太陽光パネルは金額にして約9億バーツ相当ともいわれており、タイ国営電力会社(EGAT)の本気度がうかがえます。また、独自の送電システムの開発、運用コストパフォーマンスの重視、不安定供給の低減システムやエネルギーの貯蔵とその管理システムの構築など、経済的、社会的懸念もフォロー。水の中で生きる生物への影響や農業水路としてして併用する安全性も確保するなど環境への配慮も行なっている点は、さすが、国営と言わざるを得ません。
4.タイ国内における今後の電力の行方
実は、タイ政府は2018年の国家電力開発計画の下で、今後20年間で、全国にあるダム(現在10カ所前後)に、なるべく多くのフローティングソーラーファームを建設すると宣言しています。
タイ住民としては、水と太陽が豊富なタイで、その風土と気候を活かした独自の発電方法の開発により、さまざまなインフラの整備が進み、停電や断水が少しでもなくなることを願うばかりです。
タイ・クラビのchinagaの寄稿でした。
< 経営 >などの関連記事
- タイのデリバリーサービスがコロナで急成長。「フードパンダ」の仕組と歴史を考察
- バンコクの内装工事13社まとめ、得意分野・関連事業は千差万別、得意分野の事前調査で間違いなき内装を
- 外出禁止で急成長。「タイのアマゾン」こと「LAZADA(ラザダ)」の経営とは
- タイ人の社内研修の第一歩、仕事の基本がわかる本【スースーピム(susu pim)】
- アスコットグループのホテル・サービスアパート一覧2020
- パナソニック・タイの工場がベトナムへ移転。その真相と実態とは
- 投資金額約33億バーツ!!フードデリバリー会社「LINEMAN(ラインマン)」とタイのぐるなび「 WONGNAI(ウォンナイ)」が合併
- 「タイ国際航空」は今後どうなる!?会社更生法から約半年。現状と展望
เขามีความรู้เกี่ยวกับการผลิต
カウ ミー クワーム ルー ギアウ ガップ ガーン パリット
彼は生産についての知識を持っています。
<経理の場面>に関するタイ語音声とタイ語記事はコチラ