タイ国籍を有する中国系住民「タイ・チャイニーズ」から学ぶ、働き方と経営術

サワディーカップ!LABタイ語学校です。

アタシの暮らすクラビには、三大財閥があるといわれています。そのうちの一番大きな財閥は、ピピ島のホテルやフェリーなどを所有。さらには、サッカーのクラブチーム「クラビFC」のオーナーでもあります。ここには、日本人のMF前田遼平選手も所属していて、いつかインタビューしてみたいなあと思っています。

タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿

そして、もうひとつが、広大な土地に多くのパビリオンを持ち、アオナンに唯一プライベートビーチを持つホテル「クラビ・リゾート」のオーナー。こちらは、クラビ市内のガソリンスタンド「SHELL」も運営しています。今はかなりのご高齢となり引退してしまいましたが、このオーナーが何を隠そう「タイ・チャイニーズ」。タイに移り住み、イチから切り開いたそうです。アタシは、以前この先代の娘が所有する一部屋を借りて暮らしていました。そこでいろいろな場面に遭遇し、逸話を聞きました。この話を中心に、アタシが知って、見て感じたタイ・チャイニーズのすごさをご紹介していましょう。

 

1.父からホテルを買い取り、経営する娘。その日々の暮らしは質実剛健

先代「クラビ・リゾート」のオーナーの娘は、現在「ランタ・リゾート」というランタ島にある系列のホテルを経営しています。兄か弟かは定かではありませんが、男兄弟が「クラビ・リゾート」を引き継ぎ、運営。こちらは譲られたそうですが「ランタ・リゾート」は、彼女は父親から買い取り(どのような方法かまではわかりませんが)、経営しているそうです。タイ・チャイニーズ系は特に、なのでしょうか。女性、それは娘であっても譲られることはなく、相続を含めて、男性の子どもである息子にすべて譲渡されるようです。そこで、娘である彼女は奮起し、父親から「ランタ・リゾート」を買い取ったと聞きました。

住居であるクラビ・タウンへ帰ってくるのは、月に数えるほど。ちなみに彼女のご主人は日本人。ずいぶん前にテレビに出演されたこともあるそうです。高校生の息子、大学生の娘がいます。同じ屋根の下に、彼女のうちのキッチンの脇を通って、アタシは自分の部屋へ戻っていたので、 彼女の姿をよく見かけました。 ガラスの扉なのでよく見えてしまうのです。 たまに家に帰ってきても、ずっと、雑務をやったり、台所にいたり、いつも忙しそうにしていました。たまに帰って来た時でも、日本人のご主人をお供に、大量に買い出しを行ない、家族に食事を作っていました。

家政婦さんがいる様子もなく、留守にした時用に作り置きもしていたのでしょうか。そこまではわかりませんが、ごくごく普通の主婦という感じがしました。ただし、出で立ちは、ド派手でした。ウィッグとつけまつげ、朝早く会っても、バッチリ完璧にメイクをしてました。一度、お昼に、自分用のランチでしょうか。何かを作って立ちながら食べているのを見た時には、びっくりして、そそくさと自分の部屋へ戻った記憶があります。ランタ島随一といわれる、高級リゾートホテルの経営者の立ち食い。見てはいけないものを見てしまったようで、でも、質実剛健暮らしぶりを垣間みて、「お金をセーブするからお金持ちになるのだ」と、誰かが言っていた言葉を思い出していました。

 

 

2.娘には特に厳しく英才教育と帝王学

親戚が山羊を飼育農場を運営しているからと、山羊のミルクも販売していました。山羊のミルクの他、これを使ったチーズやアイスクリームをよくいただきました。商品化を考えていたのでしょうか。マーケティングの一種だった思います。詳しい感想を求められました。「ニオイとクセが強い」とは言えず(笑)「おいしかったです」と言って、クセの強い食べ物が好きな友人にこっそりと譲っていました。

パウンドケーキやクッキーなどもよく貰いました。これは、彼女のスタッフに聞いた話なのですが、ある日、大学生の娘が「I-PADを買ってほしい」と母親におねだりしたそうです。そうすると「欲しければ、自分で稼いで買いなさい。たとえば、スィーツを作って、自分で売るという方法がある」と。そこで、彼女がお手本としてスイーツ販売を行なうべく、お菓子作りに、山羊のミルクを使っての商品化を模索している、と。娘にI-PADを買うことなんて、大したことではないはずだけれども、単に買い与えるのではなく、欲しいものは自分で稼いで手に入れる。この帝王学を実践しているのは素晴らしいな、と思いました。

男兄弟には譲られたホテルを、自身は自分の力で買い取った、という彼女だからこそ納得できる話です。タイチャイニーズ社会の女性に対する厳しさを自ら率先して示している、そんな気がしました。だって、彼女の日本人のご主人、一応、アオナンにあるスーパーマーケットの運営を任されているようなんですけど、いつもクラビタウンの自宅にいて、全然、仕事している様子がないんですもの。

 

3.タイ・チャイニーズの仏教を重んじる精神からみえるやさしさ

10月のベジタリアンフェスティバル(タイ南部特有のお祭り)、11月のロイクラトン(灯籠流し)、2月の旧正月。日常的に、早朝に行なわれているお坊様へのタンブン(食事の器を差し出し食べ物を寄付する)など、タイ仏教由来のさまざまなお祭りや催しから、タイ・チャイニーズの精神を発見することもありました。

「SHABU KONG」という時間無制限の食べ放題、日本の「しゃぶしゃぶ」を模したチェーン店があるのですが、連日大行列を作るほど繁盛しています。しかも年中無休。その「SHABU KONG」の近くに住んでいたので、毎日、その様子を見ていたのですが、ある日、突然1週間ほど休みになりました。「んん?どうした??」と思っていたところ、後から分かったことは、ちょうど10月のベジタリアンフェスティバルの期間だったということでした。身体、顔に槍を突き刺す、エキセントリックな南部特有のお祭りなのですが、ちょうど、この期間だったのです。

夕方からオープンする「SHABU KONG」ですが、毎日、朝7時くらいから、オーナー自らトラックに大量の食料を積んで買い出しに出かけていました。途中で幼い子どもを学校?幼稚園?に送り出し、また、大量の食料をどこからか買い付けに行っては戻ってきていました。すごい働き者だなあ、といつも感心してみていました。そして、秀逸なのが、オープンしてから。オーナー自らドアに立ち、行列する人たちに、それが高校生であっても、頭を下げて「少々お待ちください」と、真摯的な接客をしていました。頭を下げて挨拶をするのは、日本人だけだ、と思っていたので、この様子を見た時は正直驚きました。

時に前にある駐車スペースのバックオーライを手伝ったり、お客さんの子どもをあやしたりする姿に感動すら覚えました。年中無休で勢力的に仕事をしていたオーナーですが、仏教的行事がある時には、1週間、平気で店を休む。この姿も衝撃的でした。彼が、そのベジタリアンフェスティバルにどれくらいかかわっていたのかまではわかりません。が、休みなしで営業している店を、彼が休むだけでなく、休みにしてしまう。これ、日本人にはない感覚だと思います。

ここクラビは、70~80%の住人がムスリム(イスラム教徒)です。地域によっては、一日にコーランが何度も大音量で流れます。いつも思うのですが、仏教徒とイスラム教徒がうまく共存しているなあと思います。心の奥底の思いまでは計り知れませんが、年中、互いの宗教的行事やお祭りにおいて、口論があったり、諍いがあったということは、見たことも聞いたこともありません。

タイ・チャイニーズのタイ仏教の教えによる、施しの精神を感じたのは、奇しくもコロナによるロックダウンの最中でした。無料で食料を配布していたほとんどが、タイ・チャイニーズでした。バイクショップの前で、それがバイクショップのオーナーが主宰していたのか、場所を貸していただけなのかわかりませんが、こちらもタイ・チャイニーズでした。多分、ですが、あちらこちらで食料の無料配布をしていたほとんどがタイ・チャイニーズであったと思います。宗教に関係なく、相手に関係なく、助け合う。結婚式や葬式の時にしか、自らの宗教を醸し出さない日本人として、いろいろ考えさせられるタイ仏教であります。

 

 

4.衛生管理とスタッフが素晴らしく、お客の途絶えない飲食店オーナーは、ほとんどがタイ・チャイニーズ

クラビは田舎なので、都会のバンコクのように洗練された飲食店はあまり多くありません。最近でこそ、インスタ映えするカフェやレストランなどが多くなってきましたが、そこはそれなりのコストがかかります。日常の、普段使いの食堂は、味はともかく、サービスやスタッフの対応など、正直、冴えているところは多くはありません。が、最近、ようやくわかってきたのですが、テーブルや洗面所などの水回りを含めて、清潔感があるところ。スタッフの気が利いていたり丁寧な接客をしていところ。そのほとんどがタイ・チャイニーズの経営です。

前述の「SHABU KONG」同様、オーナーの腰が低く、丁寧な対応をしているところも特長的。そして、何よりも、そんな飲食店にはいつも多くのお客さんであふれかえっています。飲食店に限って言えば、味はもちろん、雰囲気、対応など、コうるさい日本人も安心して通うことができる日常的なスペース。なぜか、そこには素晴らしいタイ・チャイニーズの手腕がふるわれている。そんな気がする今日この頃です。

 

 

タイ・クラビ在住のchinagaの投稿でした。

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明日、生産計画の会議を開催します

プルンニー ジャ ジャット プラチュム ペーン ガーンパリット

พรุ่งนี้จะจัดประชุมแผนการผลิต

プルンニー=明日 ジャ=~する予定 ジャット=開催 プラチュム=会議 ペーン=計画 ガーンパリット=生産

会議という意味の「プラチュム」はビジネスシーンで頻繁に使える単語なので覚えておきましょう。

 

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