タイの化粧品メーカー「Srichand(シーチャン)」から学べるマーケティングとブランディング

サワディーカップ!LABタイ語学校です。

毎日毎日暑いタイ。ちょっと動くとすぐ汗が。日本から持ってきたパウダーも切れ、タイで新しいものを買ったものの、鼻の頭や頬などオイリーな部分はすぐに落ちてしまい、日差しで真っ赤になるという負のスパイラルが。そんな時、タイでパウダーを使うなら Srichand(シーチャン)という情報を聞き、早速試したところこれが、本当に優秀。海に入ろうが、汗をかこうがまったく落ちない。しかも、コンビニでも売っている。かわいいパッケージ。小さいから持ち歩きに便利。鏡もパフ付き。と女心を揺さぶる要素がもりだくさん。「なんなのこの優秀さは」と思い調べていると、シーチャン。少し前までおばちゃんしか使わないダサイメーカーであったにもかかわらず、2015年、創始者の孫が大リニューアルキャンペーン。なんと売り上げを約20倍に増やしたとか。

タイ・クラビ在住のchinagaの寄稿

 

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1.マーケティング論者フィリップ・コドラーから学び「シーチャン」流の人事を実践

シーチャンの創業は、1948年。主力製品はトランスルーセントパウダー、いわゆるお粉。古めかしいパッケージで、ユーザーは中高年の女性がほとんどという状態でした。「このままでは、ブランドが消滅してしまう」と考えた、2007年に家業を継いだ創業者の孫、Rawit Hanutsaha氏がまず始めたことは、マーケティングを学ぶということでした。それもそのはず、彼は大学では電気工学を学んだバリバリの理系。それでも、「シーチャン」のバイブルとまで呼んでいるコドラーのマーケティングを着々と実践していきます。

まず、最初に行なったのは、友人を入社させること。「自分一人ではどうにもならないので仕事を手伝ってもらおうと友人を会社に引き入れました。たくさんビールを飲ませて、酔ったところで『うん』と言わせたんです(笑)」この友人は入社以来、マーケティングを担当し、現在も心強い右腕の一人だとか。

優秀な人材は企業にとって最も大事な要素。成功した現在も、社長業を続けるかたわら、マーケティングについての講演を行なったり、facebookやブログでビジョンを発信を続けるのは優秀な人材を獲得するためだとか。「今では、ケンブリッジやオックスフォード、ハーバード大学などを卒業した優秀な人も採用できるようになりました」

優秀な人材の確保に努める一方で、祖父の時代から勤めている社員10名もかわらず会社に貢献してもらっているのだとか。「ある人はタイの昔からある市場でしか買い物をしたことがないような人なのですが、その分、市場での値切り交渉には長けていて(笑)。購買のマネージャーとしてその能力を発揮してもらっています」

 

 

2.徹底的にマーケティングを行ない「why?」を追求する

「シーチャン」流マーケティングリサーチ方法として、大切にしたことは、頭を空っぽにして、あえて仮説を立てないことだったという。Rawit氏は店で客を観察するときには、どこをどのように歩き、何を見て回っているのか動線までもチェック。常に「Why?」を投げかけ続けて新商品を開発し続けたとか。

そこで上がってきたのが、容量と価格の問題。予算を考えずにベストなパウダーを開発してほしい、と要望すると出来上がった試作品は、「30g入、800バーツ」のものだったとか。確かに「シーチャン」のパウダーは、「オイル・アルコールフリー、香料・防腐剤なし」と優秀だ。だが、高すぎる。そこで「why?」から生まれた要素を取り入れることに。

「多すぎるので小分けにして使っている」「入れ替えるときに容器から粉が漏れてしまい、バッグが汚れて困ることもある」という答えが多く「why? 30gでなければならないのか」。それはパウダーというものは30gが主流だったから、という理由だけでした。そこで、生まれたのが、10g、280バーツというものでした。

さらに、パッケージデザインも有名デザイナーに依頼して一新。「『きれいなデザインにしてほしい』と依頼したら、とんでもないものが(笑)。そこで私はもう一度、シーチャンは何を目指しているのかを丁寧に説明し直しました。仕事をする際にはブリーフィングが重要ですが、とりわけ右脳の人と仕事をするときの方法はこの時に学びました」

 

 

3.一大キャンペーンで展開した英語だけのCM。「why?」

高品質で適切な価格、美しいパッケージ。しかし、良い商品だから売れるとは限りません。タイの著名フィルムディレクターにCM作成を依頼して完成したCMは、 タイ語は皆無で全編英語。テレビ、ネット、SNSなど一大キャンペーンを展開しました。この大胆なアプローチには狙いが。

「CMはすべて英語でナレーションをしているので、見ているタイ人の大半は内容がわからない。このわからないのが話題になった。『あのCM、なんて言っているんだろう』と何度もYouTubeでCMを見て、意味を確認する人が続出したんだ」

これが、その際実際に流れたCMです。

 

4. 客とのコミュニケーションをどう展開するかが、キーとなる

メーカーやブランド、企業がどんなにそのメリットをアピールしても人の心には響かない時代です。 急速に変化する世界を生き抜くためにRawit氏があげるキーワードは「コミュニティ」。そして消費者が信じる4つのF「フレンズ、ファン、ファミリー、フォロワー」を重んじること。

「コミュニティに対して商品を売りつけることは、最悪の方法。効果的なのは、中に入っていっしょに会話すること。お客様を大切な友人として接し、誠意を持って課題の解決にあたる。Facebookの上だけでもダメだし、お店の中だけでもダメ。包括的にあらゆる角度から人間力を発揮するのがブランド力を高める方法です」

入社した当時のシーチャンの売上は1,500万バーツ。10年後、売上は7億バーツに。5年半で累計500万個以上も売り上げる大ヒット商品を生み出したRawit氏。ビジョンを語り続け、スタッフを大切なファミリーとして、客を友人として、誠実にその声に耳を傾け、課題の解決へと動いてゆく。「シーチャン」は「人間味あふれるブランド」として、今後もそのファンを増やし続けていくことでしょう。

タイ・クラビ在住のchinagaの投稿でした。

 

 

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